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1節 共通事項/1章 各章共通事項/平成31年版 公共建築木造工事標準仕様書

1.1.1 一般事項

(1) 適用範囲
公共建築木造工事標準仕様書 (以下「木造標準仕様書」という。) は、軸組構法 (壁構造系) 、軸組構法 (軸構造系) 、枠組壁工法、丸太組構法及びCLTパネル工法に係る木造建築工事に適用する。

(2) 受注者は、設計図書(別冊の図面、木造標準仕様書、特記仕様書、現場説明書及び現場説明に対する質問回答書をいう。以下同じ。)に従い、責任をもって履行する。

(3) 木造標準仕様書の適用

(ア) 木造標準仕様書の5章から9章までの各章の適用は特記による。
また、2章以降の各章は、1章と併せて適用する。

(イ) 木造標準仕様書の2章以降の各章において、共通事項が1節に規定されている場合は、2節以降の規定と併せて適用する。

(4) 優先順位
全ての設計図書は、相互に補完する。
ただし、設計図書間に相違がある場合の適用の優先順位は、次の(ア)から(オ)までの順番のとおりとし、これにより難い場合は、1.1.8 による。

(ア) 質問回答書 ((イ)から(オ)までに対するもの)

(イ) 現場説明書

(ウ) 特記仕様書

(エ) 別冊の図面

(オ) 木造標準仕様書

1.1.2 用語の定義

木造標準仕様書の用語の意義は、次による。

(ア) 「監督職員」とは、契約書に基づく監督職員、監督員又は監督官をいう。

(イ) 「受注者等」とは、当該工事請負契約の受注者又は契約書に基づく現場代理人をいう。

(ウ) 「監督職員の承諾」とは、受注者等が監督職員に対し、書面で申し出た事項について監督職員が書面をもって了解することをいう。

(エ) 「監督職員の指示」とは、監督職員が受注者等に対し、必要な事項を書面によって示すことをいう。

(オ) 「監督職員と協議」とは、監督職員と受注者等とが結論を得るために合議し、その結果を書面に残すことをいう。

(カ) 「監督職員の検査」とは、施工の各段階で受注者等が確認した施工状況、材料の試験結果等について、受注者等から提出された品質管理記録に基づき、監督職員が設計図書との適否を判断することをいう。
なお、「品質管理記録」とは、品質管理として実施した項目、方法等について確認できる資料をいう。

(キ) 「監督職員の立会い」とは、必要な指示、承諾、協議、検査及び調整を行うため、監督職員がその場に臨むことをいう。

(ク) 「監督職員に報告」とは、受注者等が監督職員に対し、工事の状況又は結果について書面をもって知らせることをいう。

(ケ) 「監督職員に提出」とは、受注者等が監督職員に対し、工事に関わる書面又はその他の資料を説明し、差し出すことをいう。

(コ)「基本要求品質」とは、工事目的物の引渡しに際し、施工の各段階における完成状態が有している品質をいう。

(サ)「品質計画」とは、設計図書で要求された品質を満たすために、受注者等が、工事における使用予定の材料、仕上げの程度、性能、精度等の目標、品質管理及び体制について具体的に示すことをいう。

(シ)「品質管理」とは、品質計画における目標を施工段階で実現するために行う管理の項目、方法等をいう。

(ス)「特記」とは、1.1.1(4)の(ア)から(エ)までに指定された事項をいう。

(セ)「書面」とは、発行年月日及び氏名が記載された文書をいう。

(ソ)「工事関係図書」とは、実施工程表、施工計画書、施工図等、工事写真その他これらに類する施工、試験等の報告及び記録に関する図書をいう。

(タ)「施工図等」とは、施工図、現寸図、工作図、製作図その他これらに類するもので、契約書に基づく工事の施工のための詳細図等をいう。

(チ)「JIS」とは、工業標準化法 (昭和24年法律第185号) に基づく日本工業規格をいう。

(ツ)「JAS」とは、日本農林規格等に関する法律 (昭和25年法律第175号) に基づく日本農林規格をいう。

(テ)「規格証明書」とは、設計図書に定められた規格、基準等に適合することの証明となるもので、当該規格、基準等の制度によって定められた者が発行した資料をいう。

(ト)「一工程の施工」とは、施工の工程において、同一の材料を用い、同一の施工方法により作業が行われる場合で、監督職員の承諾を受けたものをいう。

(ナ)「工事検査」とは、契約書に基づく工事の完成の確認、部分払の請求に係る出来形部分等の確認及び部分引渡しの指定部分に係る工事の完成の確認をするために発注者又は検査職員が行う検査をいう。

(ニ)「技術検査」とは、公共工事の品質確保の促進に関する法律(平成17年法律第18号)に基づき、工事中及び完成時の施工状況の確認並びに評価をするために、発注者又は検査職員が行う検査をいう。

(ヌ)「概成工期」とは、建築物等の使用を想定して総合試運転調整を行ううえで、関連工事を含めた各工事が支障のない状態にまで完了しているべき期限をいう。

1.1.3 官公署その他への届出手続等

(1) 工事の着手、施工及び完成に当たり、関係法令等に基づく官公署その他の関係機関への必要な届出手続等を直ちに行う。

(2) (1)に規定する届出手続等を行うに当たり、届出内容について、あらかじめ監督職員に報告する。

(3) 関係法令等に基づく官公署その他の関係機関の検査に必要な資機材、労務等を提供する。

1.1.4 工事実績情報サービス(CORINS)への登録

(1) 工事実績情報サービス(CORINS)への登録が特記された場合は、登録内容について、あらかじめ監督職員の確認を受けた後、次に示す期間内に登録機関へ登録申請を行う。
ただし、期間には、行政機関の休日に関する法律 (昭和63年法律第91号) に定める行政機関の休日は含まない。

(ア) 工事受注時 契約締結後10日以内

(イ) 登録内容の変更時 変更契約締結後10日以内

(ウ) 工事完成時 工事完成後10日以内
なお、変更登録は、工期、技術者等の変更が生じた場合に行う。

(2) 登録後は直ちに登録されたことを証明する資料を、監督職員に提出する。
なお、変更時と工事完成時の間が10日に満たない場合は、変更時の登録されたことを証明する資料の提出を省略できる。

1.1.5 書面の書式及び取扱い

(1) 書面を提出する場合の書式 (提出部数を含む。) は、公共建築工事標準書式によるほか、監督職員との協議による。

(2)木造標準仕様書において書面により行わなければならないこととされている「監督職員の承諾」、「監督職員の指示」、「監督職員と協議」、「監督職員に報告」及び「監督職員に提出」については、電子メール等の情報通信の技術を利用する方法を用いて行うことができる。

(3) 施工体制台帳及び施工体系図については、建設業法 (昭和24年法律第100号) 及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律 (平成12年法律第127号) に基づき作成し、写しを監督職員に提出する。

1.1.6 設計図書等の取扱い

(1) 設計図書及び設計図書において適用される必要な図書を工事現場に備える。

(2) 設計図書及び工事関係図書を、工事の施工の目的以外で第三者に使用又は閲覧させてはならない。
また、その内容を漏洩してはならない。
ただし、使用又は閲覧について、あらかじめ監督職員の承諾を受けた場合は、この限りでない。

1.1.7 別契約の関連工事

別契約の施工上密接に関連する工事については、監督職員の調整に協力し、当該工事関係者とともに、工事全体の円滑な施工に努める。

1.1.8 疑義に対する協議等

(1) 設計図書に定められた内容に疑義が生じた場合又は現場の納まり、取合い等の関係で、設計図書によることが困難若しくは不都合が生じた場合は、監督職員と協議する。

(2) (1)の協議を行った結果、設計図書の訂正又は変更を行う場合の措置は、契約書による。

(3) (1)の協議を行った結果、設計図書の訂正又は変更に至らない事項について、記録を整備する。

1.1.9 工事の一時中止に係る事項

次の(ア)から(オ)までのいずれかに該当し、工事の一時中止が必要となった場合は、直ちにその状況を監督職員に報告する。

(ア) 埋蔵文化財調査の遅延又は埋蔵文化財が新たに発見された場合

(イ) 別契約の関連工事の進捗が遅れた場合

(ウ) 工事の着手後、周辺環境問題等が発生した場合

(エ) 第三者又は工事関係者の安全を確保する場合

(オ) 暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、地すべり、落盤、火災、騒乱、暴動その他の自然的又は人為的な事象で、受注者の責めに帰すことができない事由により、工事目的物等に損害を生じた場合又は工事現場の状態が変動した場合

1.1.10 工期の変更に係る資料の提出

契約書に基づく工期の変更についての発注者との協議に当たり、協議の対象となる事項について、必要とする変更日数の算出根拠、変更工程表その他の協議に必要な資料を、あらかじめ監督職員に提出する。

1.1.11 特許権等

工事の施工上の必要から材料、施工方法等を考案し、これに関する特許権等の出願を行う場合は、あらかじめ発注者と協議する。

1.1.12 埋蔵文化財その他の物件

工事の施工に当たり、埋蔵文化財その他の物件を発見した場合は、直ちにその状況を監督職員に報告する。
その後の措置については、監督職員の指示に従う。
なお、工事に関連した埋蔵文化財その他の物件の発見に係る権利は、発注者に帰属する。

1.1.13 関係法令等の遵守

工事の施工に当たり、関係法令等に基づき、工事の円滑な進行を図る。

このページは、国土交通省のWebサイトで公開されている 国土交通省大臣官房官庁営繕部 公共建築木造工事標準仕様書 平成31年版 をWebページ化したものです。

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全体目次/平成31年版 公共建築木造工事標準仕様書

国土交通省ウェブサイトで公開されている 国土交通省大臣官房官庁営繕部 公共建築木造工事標準仕様書 平成31年版 のPDF版をウェブページ化したものです。 この全体目次にすべてのページへのリンクがありますので、このページをブックマークしていただくと、利用していただきやすいと思います。 最終改定 令和 3 年 3 月 25 日 国営木第20号 令和2年6月9日改定版から令和3年3月25日改定版の変更か所 平成31年4月25日改定版から令和2年6月9日改定版の変更か所 PDF版で見つかった記載間違い 各章共通事項 仮設工事 土・地業・基礎工事 木造工事 軸組構法(壁構造系)工事 軸組構法(軸構造系)工事 枠組壁工法工事 丸太組構法工事 CLTパネル工法工事 木工事 防水工事 石工事 タイル工事 屋根及びとい工事 金属工事 左官工事 建具工事 塗装工事 内装工事 断熱・防露、ユニット及びその他の工事 排水工事 舗装工事 植栽工事 資 料 1章 各章共通事項 共通事項 工事関係図書 工事現場管理 材料 施工 工事検査及び技術検査 完成図等 2章 仮設工事 共通事項 縄張り、遣方、足場等 仮設物 仮設物撤去等 3章 土・地業・基礎工事 共通事項 土工事 地業工事 基礎工事 4章 木造工事 共通事項 防腐・防蟻処理 防火被覆処理 5章 軸組構法(壁構造系)工事 共通事項 材料 防腐・防蟻処理 木材の加工 搬入及び建方 軸組 小屋組 床組 壁 6章 軸組構法(軸構造系)工事 共通事項 材料 防腐・防蟻処理 木材の加工 搬入及び建方 軸組 小屋組 床組 7章 枠組壁工法工事 共通事項 材料 防腐・防蟻処理 木材等の加工 搬入及び建方 土台 床枠組 壁枠組 小屋組及び屋根 8章 丸太組構法工事 共通事項 材料

2節 防腐・防蟻処理/4章 木造工事/平成31年版 公共建築木造工事標準仕様書

4.2.1 防腐・防蟻処理 4.2.2 地盤に接する鉄筋コンクリートによる床下の防蟻処理 4.2.3 地盤の土壌の防蟻処理 4.2.4 防腐措置 4.2.1 防腐・防蟻処理 木材の防腐・防蟻処理は、次により、適用部材及び処理の種類は特記による。 (ア) 防腐・防蟻処理が不要な樹種による製材 「製材の日本農林規格」 (平成19年8月29日 農林水産省告示第1083号) 及び「枠組壁工法構造用製材及び枠組壁工法構造用たて継ぎ材の日本農林規格」 (昭和49年7月8日 農林省告示第600号) に基づく心材の耐久性区分D1の樹種の心材のみを用いた製材は、次の(イ)及び(ウ)による薬剤による処理の適用を省略できる。 (イ) 薬剤の加圧注入による防腐・防蟻処理 (a) 製材等の加圧注入による防腐・防蟻処理は、「製材の日本農林規格」又は「枠組壁工法構造用製材及び枠組壁工法構造用たて継ぎ材の日本農林規格」の保存処理の性能区分K2からK4までの区分に適合するもの若しくはこれと同等の保存処理性能のものとし、保存処理の性能区分及びインサイジングの適用は特記による。 (b) 人体への安全性及び環境への影響について配慮され、かつ、JIS K 1570 (木材保存剤)に基づく加圧注入用木材保存剤又はこれと同等の木材保存剤を用いて、JIS A 9002 (木質材料の加圧式保存処理方法) に基づく加圧式保存処理を行うものとし、インサイジングの適用は特記による。 なお、JIS A 9002に基づく使用薬剤、注入量等の証明書を、監督職員に提出する。 (c) 加圧注入処理を行ったのち、加工、切断、孔あけ等を行った箇所は、(ウ)により処理を行う。 (ウ) 薬剤の塗布等による防腐・防蟻処理 (a) 人体への安全性及び環境への影響について配慮され、かつ、JIS K 1571 (木材保存剤―性能基準及びその試験方法) に適合する表面処理用木材保存剤又はこれと同等の性能を有する木材保存剤による処理を行う。 ただし、附属書A(規定)に基づく表面処理用木材保存剤による処理の適用、薬剤の種類及び適用部材は、特記による。 なお、処理に使用した薬剤、使用量等の記録を監督職員に提出する。 (b) 処理の方法は、特記による。 特記がなければ、次による。 ① 処理面の汚れ及び付着物を取り除

4節 透湿防水シート、防水テープ及び改質アスファルトフェルト工事/11章 防水工事/平成31年版 公共建築木造工事標準仕様書

11.4.1 一般事項 11.4.2 材料 11.4.3 施工 11.4.1 一般事項 この節は、外壁を取り付ける場合の透湿防水シート、防水テープ及び改質アスファルトフェルトを留め付ける工事に適用する。 11.4.2 材料 (1) 透湿防水シートは、JIS A 6111 (透湿防水シート) に規定する透湿防水シートBとする。 (2) 防水テープ (ア) 両面粘着防水テープの幅は、特記による。 特記がなければ50mm幅以上のものを使用し、傷やしわがないものとする。 (イ) 両面粘着防水テープは、製造所が定める使用可能期間以内に使用する。 (ウ) 両面粘着防水テープは、表11.4.1の性能基準に適合し、10年間の防水機能を検証したものとする。 また、片面粘着防水テープは、両面粘着防水テープの性能基準に準ずる製品とする。 (3) 改質アスファルトフェルト 改質アスファルトフェルトは、表11.4.2の品質に適合したものとする。 (4) ステープルは、JIS A 5556 (工業用ステープル) による。 11.4.3 施工 (1) 施工条件 (ア) 降雨・降雪時、降雨・降雪が予想される場合又は降雨・降雪後で下地が未乾燥の場合は、施工を行わない。 (イ) 防腐・防蟻処理された胴縁を使用する場合、透湿防水シート施工後、降雨・降雪等で胴縁及び透湿防水シートを濡らさないよう、直ちに外装材を設置すること。 (ウ) 防水テープの施工は、5℃未満では原則行わない。 (エ) 防水テープの施工は、被着体の乾燥のほか、油分、ほこり、木屑等の汚れを除去したうえで行う。 (2) 透湿防水シート、防水テープ及び先張り防水シートの工法 (ア) 透湿防水シートの施工は、開口部回り、外壁上下端部及び取合い部の雨水処理、水切り取付け等の工事終了後に行う。 (イ) 柱、間柱の間隔、段差、不陸などを確認し、不具合がある場合は修正し、柱・間柱あるいは耐力面材の上に透湿防水シートを張る。 なお、外張断熱工法とする場合は、断熱材の上に張る。 (ウ) 透湿防水シートは、シートを横方向に下部から上部に積み上げる、よろい張りを原則とする。 (a) 重なりは、上下幅90mm以上とする。 左右の重なりは構造用面材がない場合は、柱 (間柱) と間柱 (柱)の間隔 (左