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2節 防腐・防蟻処理/4章 木造工事/平成31年版 公共建築木造工事標準仕様書

4.2.1 防腐・防蟻処理

木材の防腐・防蟻処理は、次により、適用部材及び処理の種類は特記による。

(ア) 防腐・防蟻処理が不要な樹種による製材
「製材の日本農林規格」 (平成19年8月29日 農林水産省告示第1083号) 及び「枠組壁工法構造用製材及び枠組壁工法構造用たて継ぎ材の日本農林規格」 (昭和49年7月8日 農林省告示第600号) に基づく心材の耐久性区分D1の樹種の心材のみを用いた製材は、次の(イ)及び(ウ)による薬剤による処理の適用を省略できる。

(イ) 薬剤の加圧注入による防腐・防蟻処理

(a) 製材等の加圧注入による防腐・防蟻処理は、「製材の日本農林規格」又は「枠組壁工法構造用製材及び枠組壁工法構造用たて継ぎ材の日本農林規格」の保存処理の性能区分K2からK4までの区分に適合するもの若しくはこれと同等の保存処理性能のものとし、保存処理の性能区分及びインサイジングの適用は特記による。

(b) 人体への安全性及び環境への影響について配慮され、かつ、JIS K 1570 (木材保存剤)に基づく加圧注入用木材保存剤又はこれと同等の木材保存剤を用いて、JIS A 9002 (木質材料の加圧式保存処理方法) に基づく加圧式保存処理を行うものとし、インサイジングの適用は特記による。
なお、JIS A 9002に基づく使用薬剤、注入量等の証明書を、監督職員に提出する。

(c) 加圧注入処理を行ったのち、加工、切断、孔あけ等を行った箇所は、(ウ)により処理を行う。

(ウ) 薬剤の塗布等による防腐・防蟻処理

(a) 人体への安全性及び環境への影響について配慮され、かつ、JIS K 1571 (木材保存剤―性能基準及びその試験方法) に適合する表面処理用木材保存剤又はこれと同等の性能を有する木材保存剤による処理を行う。
ただし、附属書A(規定)に基づく表面処理用木材保存剤による処理の適用、薬剤の種類及び適用部材は、特記による。
なお、処理に使用した薬剤、使用量等の記録を監督職員に提出する。

(b) 処理の方法は、特記による。
特記がなければ、次による。

① 処理面の汚れ及び付着物を取り除く。

② 塗布又は吹付けに使用する薬剤の量は、表面積1m2当たり300mL程度とする。

③ 処理むらが生じないように、合計使用量が②の値となるよう2回処理を行う。

④ 塗布又は吹付けは、1回処理した後、十分に乾燥させ、2回目の処理を行う。

⑤ 木材の木口、仕口及び継手の接合箇所、割れ並びにコンクリート、モルタル、束石等に接する部分は、特に入念な処理を行う。

(エ) 薬剤の接着剤への混入による防腐・防蟻処理の適用は特記による。

(オ) 合板等の加圧注入による防腐・防蟻処理は、「合板の日本農林規格」(平成15年2月27日農林水産省告示第233号)、「集成材の日本農林規格」(平成19年9月25日 農林水産省告示第1152号)若しくは「単板積層材の日本農林規格」(平成20年5月13日 農林水産省告示第701号)の保存処理の性能区分K3に適合するもの又はこれと同等の保存処理性能のものとし、適用は特記による。

4.2.2 地盤に接する鉄筋コンクリートによる床下の防蟻処理

最下階の床下に床組を行う場合の、地盤に接する床下は、(ア)又は(イ)とし、適用及び配筋は、特記による。

(ア) 鉄筋コンクリート造のべた基礎

(イ) 基礎梁と配筋により一体とした、厚さ100mm以上の土間コンクリート

(ウ) 配管類がコンクリート部分を貫通する場合は、穴の隙間に防蟻性のある材料を充填する等、防蟻上有効な措置を施す。

4.2.3 地盤の土壌の防蟻処理

地盤の土壌への薬剤による防蟻処理は、次により、適用は特記による。

(ア) 土壌の防蟻処理に使用する薬剤は、人体への安全性及び環境への影響について配慮され、かつ、(公社)日本しろあり対策協会又は(公社)日本木材保存協会の認定によるものとし、使用する薬剤及び使用量は、特記による。

(イ) 処理方法は、次により、原則として、建築物の基礎に囲まれた床下の土壌を対象とする。

(a) 基礎、束石及び配管類の立上り部分の周囲の土壌に対し、帯状散布を行う。

(b) 浴室、便所、玄関、勝手口等の土間コンクリート下部の土壌処理は、基礎の内側に沿って帯状散布をし、その内側の部分に対し、面状散布を行う。

(ウ) 合成樹脂等の配管配線が設置されている場所に土壌処理を行う場合は、配管配線が薬剤により劣化しないように、適切な養生を行う。

4.2.4 防腐措置

(1) 土台底及び柱底等
土台底、柱底及び壁パネル底がモルタル及びコンクリートと取り合う部分には、適切な材料で縁を切り、木材の防腐措置を講ずる。

(2) 床下換気
最下階の床下に床組を行う場合は、適切な換気量を確保できる換気孔を設ける。
ただし、基礎断熱を適用する場合は、換気孔を設けない。

(a) 基礎の外周部に設ける換気孔は、次のいずれかとし、適用は特記による。

① ねこ土台
土台及び壁パネルと基礎との間に適切な材料によるねこを挟み、全外周部にわたって、1m当たり有効換気面積75cm2 以上の隙間を設け、防鼠スクリーン又は防虫網を設置する。

② 換気孔
外周部の基礎に4m以内ごとに有効換気面積300cm2 以上の換気孔を設け、防鼠スクリーン又は防虫網を設置する。

(b) 外周部以外の基礎には、適切な位置に通風と点検に支障のない寸法の床下換気孔を設ける。

(3) 小屋裏換気
小屋裏空間がある場合の小屋裏換気は、適切な換気量を確保できる換気孔を設け、雨、雪、虫等の侵入を防ぐためのスクリーンを設置する。
換気方法は、次のいずれかにより、適用は特記による。
また、換気孔の大きさは、特記による。
なお、天井面でなく屋根面に断熱材を施工する場合は、換気口を設けない。

(a) 両妻壁にそれぞれ換気孔 (給排気両用) を設ける。
また、換気孔の位置は可能な限り上部に設ける。

(b) 軒裏に換気孔 (給排気両用) を設ける。

(c) 軒裏又は小屋裏の外壁に給気孔を設け、妻壁に排気孔を設ける。
なお、給気孔と排気孔は、垂直距離で900mm以上離して設ける。

(d) 軒裏又は小屋裏の外壁に給気孔を設け、排気塔その他の器具を小屋裏頂部に設ける。

(e) 軒裏又は小屋裏の外壁に給気孔を設け、棟部に排気孔を設ける。

このページは、国土交通省のWebサイトで公開されている 国土交通省大臣官房官庁営繕部 公共建築木造工事標準仕様書 平成31年版 をWebページ化したものです。

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全体目次/平成31年版 公共建築木造工事標準仕様書

国土交通省ウェブサイトで公開されている 国土交通省大臣官房官庁営繕部 公共建築木造工事標準仕様書 平成31年版 のPDF版をウェブページ化したものです。 この全体目次にすべてのページへのリンクがありますので、このページをブックマークしていただくと、利用していただきやすいと思います。 最終改定 令和 3 年 3 月 25 日 国営木第20号 令和2年6月9日改定版から令和3年3月25日改定版の変更か所 平成31年4月25日改定版から令和2年6月9日改定版の変更か所 PDF版で見つかった記載間違い 各章共通事項 仮設工事 土・地業・基礎工事 木造工事 軸組構法(壁構造系)工事 軸組構法(軸構造系)工事 枠組壁工法工事 丸太組構法工事 CLTパネル工法工事 木工事 防水工事 石工事 タイル工事 屋根及びとい工事 金属工事 左官工事 建具工事 塗装工事 内装工事 断熱・防露、ユニット及びその他の工事 排水工事 舗装工事 植栽工事 資 料 1章 各章共通事項 共通事項 工事関係図書 工事現場管理 材料 施工 工事検査及び技術検査 完成図等 2章 仮設工事 共通事項 縄張り、遣方、足場等 仮設物 仮設物撤去等 3章 土・地業・基礎工事 共通事項 土工事 地業工事 基礎工事 4章 木造工事 共通事項 防腐・防蟻処理 防火被覆処理 5章 軸組構法(壁構造系)工事 共通事項 材料 防腐・防蟻処理 木材の加工 搬入及び建方 軸組 小屋組 床組 壁 6章 軸組構法(軸構造系)工事 共通事項 材料 防腐・防蟻処理 木材の加工 搬入及び建方 軸組 小屋組 床組 7章 枠組壁工法工事 共通事項 材料 防腐・防蟻処理 木材等の加工 搬入及び建方 土台 床枠組 壁枠組 小屋組及び屋根 8章 丸太組構法工事 共通事項 材料

4節 透湿防水シート、防水テープ及び改質アスファルトフェルト工事/11章 防水工事/平成31年版 公共建築木造工事標準仕様書

11.4.1 一般事項 11.4.2 材料 11.4.3 施工 11.4.1 一般事項 この節は、外壁を取り付ける場合の透湿防水シート、防水テープ及び改質アスファルトフェルトを留め付ける工事に適用する。 11.4.2 材料 (1) 透湿防水シートは、JIS A 6111 (透湿防水シート) に規定する透湿防水シートBとする。 (2) 防水テープ (ア) 両面粘着防水テープの幅は、特記による。 特記がなければ50mm幅以上のものを使用し、傷やしわがないものとする。 (イ) 両面粘着防水テープは、製造所が定める使用可能期間以内に使用する。 (ウ) 両面粘着防水テープは、表11.4.1の性能基準に適合し、10年間の防水機能を検証したものとする。 また、片面粘着防水テープは、両面粘着防水テープの性能基準に準ずる製品とする。 (3) 改質アスファルトフェルト 改質アスファルトフェルトは、表11.4.2の品質に適合したものとする。 (4) ステープルは、JIS A 5556 (工業用ステープル) による。 11.4.3 施工 (1) 施工条件 (ア) 降雨・降雪時、降雨・降雪が予想される場合又は降雨・降雪後で下地が未乾燥の場合は、施工を行わない。 (イ) 防腐・防蟻処理された胴縁を使用する場合、透湿防水シート施工後、降雨・降雪等で胴縁及び透湿防水シートを濡らさないよう、直ちに外装材を設置すること。 (ウ) 防水テープの施工は、5℃未満では原則行わない。 (エ) 防水テープの施工は、被着体の乾燥のほか、油分、ほこり、木屑等の汚れを除去したうえで行う。 (2) 透湿防水シート、防水テープ及び先張り防水シートの工法 (ア) 透湿防水シートの施工は、開口部回り、外壁上下端部及び取合い部の雨水処理、水切り取付け等の工事終了後に行う。 (イ) 柱、間柱の間隔、段差、不陸などを確認し、不具合がある場合は修正し、柱・間柱あるいは耐力面材の上に透湿防水シートを張る。 なお、外張断熱工法とする場合は、断熱材の上に張る。 (ウ) 透湿防水シートは、シートを横方向に下部から上部に積み上げる、よろい張りを原則とする。 (a) 重なりは、上下幅90mm以上とする。 左右の重なりは構造用面材がない場合は、柱 (間柱) と間柱 (柱)の間隔 (左