11.2.1 一般事項
この節は、合板類及び防火板 (建築基準法第63条及び同法施行令第136条の2の2の規定に適合するボード類) を下地とする床面積が20m2程度のバルコニー床等にFRP系塗膜防水を施す工事に適用する。
11.2.2 材料
(1) 防水用ポリエステル樹脂は、日本建築学会材料規格 JASS 8 M-101 (防水用ポリエステル樹脂) に適合するものとする。
(2) 防水用ガラスマットは、日本建築学会材料規格 JASS 8 M-102 (防水用ガラスマット) に適合するものとする。
(3) プライマー、絶縁用ブチルゴムテープ、パテ材、硬化剤、トナー、歩行用仕上げ塗料、FRP系塗膜防水用ルーフドレン等は、製造所の指定する製品とする。
(4) FRP系塗膜防水の取合い部に施工するシーリングは、変成シリコーン系とする。
(5) ルーフドレンは、FRP系塗膜防水用ルーフドレン又は鋳鉄製とし、適用は特記による。
なお、ルーフドレンはFRP系塗膜防水材をドレンパイプ内に50mm以上入れ込める形状とする。
(6) オーバーフロー管はつば付とし、製造所の指定する製品とする。
11.2.3 防水層の工程
FRP系塗膜防水の工程及び施工部位は、表11.2.1による。
11.2.4 施工
(1) 防水材料の周囲への飛散、施工場所以外への汚染を避けるよう適切な養生を行う。
(2) 下地の構造は、次による。
(ア) 防水材の性能に影響を与えるたわみ、動き等がないものとする。
(イ) 根太掛の樹種、寸法及び防腐・防蟻処理は、特記による。
(ウ) 根太の樹種、寸法、防腐・防蟻及び防虫処理は、特記による。
特記がなければ、根太の樹種はスギとし、寸法は幅45mm、高さ55mm程度、間隔は300mm程度とし、防腐・防蟻及び防虫処理は、「製材の日本農林規格」のK2とする。
(エ) 下地合板は、上下層を千鳥とした2枚張りとし、次による。
(a) 構造用合板は、「合板の日本農林規格」第6条「構造用合板の規格」に基づき、接着の程度は特類とし、厚さ、防虫処理、表板の樹種等は、特記による。
特記がなければ、厚さ12㎜とする。
(b) 下地用合板は、「合板の日本農林規格」第4条「普通合板の規格」に基づき、接着の程度は1類、厚さ、防虫処理、表板の樹種等は、特記による。
特記がなければ、厚さ12㎜とする。
(オ) 釘は、JIS A 5508 (くぎ) に基づき、材質は表面処理された鉄又はステンレス製とする。
なお、留付け間隔は、特記による。
特記がなければ、間隔150mm程度に留め付ける。
(カ) 木ねじは、JIS B 1112 (十字穴付き木ねじ) に基づき、合板及び防火板の表面に突起しないさら木ねじとし、材質は表面処理された鋼製又はステンレス製とする。
なお、留付け間隔は、特記による。
特記がなければ、間隔150mm程度に留め付ける。
(キ) 下地合板の上に防火板を設置する場合の適用は特記による。
また、防火板の種類は特記による。
特記がなければ、ケイ酸カルシウム板厚さ10mmとする。
(3) 防水層の下地は、次による。
(ア) 防水施工時に水切り金物、外壁材及び建具枠が取り付けられていないこと。
(イ) 下地は、目違い、凹凸、突起等のない面とする。
(ウ) 平場の勾配は、特記による。
特記がなければ、1/100以上とする。
(エ) 十分に乾燥していること。
(オ) 接着の妨げとなるじんあい、油脂類、汚れ、錆等がないこと。
(カ) 出隅・入隅は、面木又はパテ材により、通りよく面取り又はR面とする。
また、成形板の目違い及び小孔は、パテ材で処理を施し、防水層に適した形状とする。
(キ) 下地目地部等には、幅50mm程度の絶縁用ブチルゴムテープを張る。
(4) ルーフドレン及びオーバーフロー管は、次による。
(ア) ルーフドレン及びオーバーフロー管の取付け位置は、機能上及び施工上支障のない位置とする。
(イ) ルーフドレン
(a) ルーフドレンのつば掛かり部分をノミ又はディスクサンダーでルーフドレンのつばの厚さ以上に掘り込み、床面よりドレンつば部分が高くならないよう設置する。
(b) 下地材にねじ、スクリュー釘等で堅固に固定する。
(c) ルーフドレンのつば及びパイプ内部はペーパー掛け等により目荒しを行う。
(d) プライマーを塗布する。
(e) FRP系塗膜防水材をルーフドレンパイプ内部に50mm以上入れ込み、よくなじませる。
(ウ) オーバーフロー管
(a) 側壁の穿孔後、穿孔面にシーリング材を捨て打ちし、オーバーフロー管を挿入する。
(b) つば部分を下地材にスクリュー釘等で堅固に固定する。
(c) オーバーフロー管のつば及び手の届く管内部は、ペーパー掛け等により目荒しを行う。
(d) プライマーを塗布する。
(e) FRP系塗膜防水材をつば部分全面になじませ、排水に支障の無い範囲でオーバーフロー管内部に入れ込む。
(5) プライマー塗り
プライマーは、はけ又はローラーばけ等を使用し、均一に塗布する。
(6) 防水材の塗布及び防水用ガラスマットの張付けは、次による。
(ア) 防水材、硬化剤の調合及びかくはん混合は、製造所の仕様による。
(イ) 積層工程は、防水用ポリエステル樹脂塗布後、直ちに防水用ガラスマットを敷込む一連の作業とする。
(ウ) 防水用ガラスマットは、下地に良くなじませ、防水用ポリエステル樹脂を塗布含浸し、脱泡する。
(エ) 防水用ガラスマットの重ね幅は、50mm以上とする。
(オ) 防水用ポリエステル樹脂に防水材製造業者の指定するトナーを所定の割合で調合し、練り混ぜ着色する。
(7) 歩行用仕上げ塗料の施工は、次による。
(ア) FRP系塗膜防水層の仕上り状態に、防水材の未硬化、ふくれ、ピンホール、突起物、損傷・破断、色むら・塗りむら、未施工部分等がないことを確認し、表面に不具合があれば補修塗り後、防水層を研磨して清掃する。
(イ) 防水層の立上り端部、ルーフドレン・パイプ等突起物の端部に、剥がれ・口あき等がないことを確認し、不具合があれば補修する。
(ウ) 歩行用仕上げ塗料の塗布
歩行用仕上げ塗料は、製造所の仕様により配合し、十分に混合する。
また、不純物を巻き込まないように、規定の使用量をはけ又はローラーばけなどで均一に塗布する。
(エ) 塗装完了後は、仕上げ塗料が硬化するまで適宜養生する。
また、仕上げ塗料の硬化後、塗装面をシート等で養生する場合は、製造所の仕様による乾燥期間の経過後に行う。
(8) 防水端部の処理は、次による。
(ア) 壁面開口部の立上り端部、建具枠等の留付けねじの頭等の処理は、「公共建築工事標準仕様書 (建築工事編) 」16.2.5[工法](2)(ウ)による。
(イ) バルコニー内側の外壁部分及び手すり壁部分等の防水層は、開口部下端で120㎜以上、それ以外の部分では250㎜以上立ち上げる。
(ウ) 壁面開口部以外の防水層立上り端末部は、外壁材が100㎜以上防水材に被るようにする。
(エ) 水切り金物、外壁材及び透湿防水シートと防水層の取合いは変成シリコーン系シーリング材を施す。
なお、詳細は特記による。
(9) 水張り試験を行う場合は、特記による。
11.2.5 施工管理
(1) 施工条件
(ア) 降雨及び降雪が予想される場合、下地の乾燥が不十分な場合、気温が著しく低下した場合、強風及び高湿の場合、その他防水に悪影響を及ぼすおそれがある場合は、施工を行わない。
やむを得ず施工を行う場合は、養生、乾燥等必要な措置を施す。
(イ) 気温が5℃以下の低温又は気温が35℃以上の高温の場合には、施工に支障を生じることが予想されるため、製造所の仕様による。
(2) 使用材料の安全管理
(ア) 硬化剤の取扱いは、製造所の仕様による。
また、他の材料と隔離して保管し、施工現場に放置しない。
(イ) 施工後の安全確認
FRP系塗膜防水施工後の残材料は、次の火災防止の措置を行う。
(a) 硬化剤を混合したFRP系塗膜防水用樹脂等の入った容器に水を張る。
(b) 硬化剤の空容器に水を張る。
また、硬化剤の付着物は水に十分浸し除去後処分する。
(c) 使用したウエスや手袋類を廃棄する場合は、水に十分浸し処分する。
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