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1節 共通事項/4章 木造工事/平成31年版 公共建築木造工事標準仕様書

4.1.1 一般事項

(1) 適用範囲
この章は、5章[軸組構法 (壁構造系) 工事]6章[軸組構法 (軸構造系) 工事]7章[枠組壁工法工事]8章[丸太組構法工事]9章[CLTパネル工法工事]及び10章[木工事]に適用する。
また、1章[各章共通事項]と併せて適用する。

(2) 構造耐力上主要な部分の構・工法
構造耐力上主要な部分 (基礎及び基礎杭を除く。) の工法は、5章[軸組構法 (壁構造系)工事]6章[軸組構法 (軸構造系) 工事]7章[枠組壁工法工事]及び8章[丸太組構法工事]9章[CLTパネル工法工事]による。

(3) 複数の構・工法を適用する場合
木造建築物の部位ごとの構・工法の指定は、特記による。

(4) 造作及び下地
5章[軸組構法 (壁構造系) 工事]6章[軸組構法 (軸構造系) 工事]7章[枠組壁工法工事]及び8章[丸太組構法工事]9章[CLTパネル工法工事]の内装及び外装の木下地工事、木造作工事及び木仕上げ工事は、10章[木工事]を適用する。
なお、丸太組構法に特化した木造作工事は、8章[丸太組構法工事]による。

4.1.2 木材の断面寸法

木材の断面を表示する寸法は、引出線で部材寸法 (短辺×長辺) が示されている場合は、ひき立て寸法とし、寸法線で部材寸法が記入されている場合は、仕上り寸法とする。
なお、木造標準仕様書において用いる、木材の断面を表示する寸法は、ひき立て寸法とする。

4.1.3 ホルムアルデヒド放散量

(1) 木造標準仕様書で規定する材料は、JAS又はJIS等の材料規格でホルムアルデヒド放散量が規定されている場合、特記がなければ、次による。

(ア) JASに基づく材料の場合

(a) ホルムアルデヒド放散量による性能区分が、F☆☆☆☆のものとする。

(b) 該当するJASに基づき、非ホルムアルデヒド系接着剤を使用したと認められたものとする。

(c) 表面に塗装加工を施したものについては、該当するJASに基づき、非ホルムアルデヒド系接着剤及びホルムアルデヒドを放散しない塗料を使用したと認められたものとする。

(イ) JIS等に基づく材料の場合

(a) ホルムアルデヒド放散量による区分が、F☆☆☆☆のものとする。

(b) 建築基準法施行令第20条の7第4項に基づき、ホルムアルデヒドの発散量が0.005mg/m2h以下のものとして認定されたものとする。

(c) 信頼できる事業者団体等、(a)又は(b)と同等の品質を有すると認められたものとする。

(2) (1)以外の材料の場合は、ホルムアルデヒド放散量による区分が、F☆☆☆☆のものとする。

4.1.4 含水率の測定

木材の工事現場における含水率の測定は、次による。

(ア) 測定は、高周波水分計又は電気抵抗式水分計による。

(イ) 測定箇所は、1本の製材の異なる2面について、両小口から300mm以上離れた2か所及び中央部1か所とし、計6か所とする。

(ウ) 含水率は、6か所の平均値とする。

(エ) 含水率測定結果の判定は、平均値が所定の含水率以下の場合を合格とする。

4.1.5 技術基準

(1) 軸組構法
軸組構法の構造方法に関する技術基準は、次による。

(a) 構造耐力上主要な部分である木造の継手及び仕口の構造方法は、「木造の継手及び仕口の構造方法を定める件」 (平成12年5月31日 建設省告示第1460号) による。

(b) 面材耐力壁の種類、材料、工法等は、「建築基準法施行令第46条第4項表1(1)項から(7)項までに掲げる軸組と同等以上の耐力を有する軸組及び当該軸組に係る倍率の数値」(昭和56年6月1日 建設省告示第1100号) による。

(c) 軸組構法 (軸構造系) 工事の構造耐力上主要な部分である柱及び横架材は、「構造耐力上主要な部分である柱及び横架材に使用する集成材その他の木材の品質の強度及び耐久性に関する基準を定める件」 (昭和62年11月10日 建設省告示第1898号。以下この章において「告示第1898号」という。) による。

(2) 枠組壁工法
枠組壁工法の構造方法に関する技術基準は、「枠組壁工法又は木質プレハブ工法を用いた建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める件」 (平成13年10月15日 国土交通省告示第1540号) 及び「構造耐力上主要な部分である壁及び床版に、枠組壁工法により設けられるものを用いる場合における技術的基準に適合する当該壁及び床版の構造方法を定める件」 (平成13年10月15日 国土交通省告示第1541号) による。

(3) 丸太組構法
丸太組構法の構造方法に関する技術基準は、「丸太組構法を用いた建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める件」(平成 14 年5月 15 日 国土交通省告示第411号) による。

(4) CLTパネル工法
CLTパネル工法の構造方法に関する技術基準は、次による。

(a) CLTパネル工法(直交集成板を用いたパネルを水平力及び鉛直力を負担する壁として設ける工法をいう。)の構造方法に関する技術基準は、「CLTパネル工法を用いた建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術基準を定める等の件」(平成28年4月1日 国土交通省告示第611号)による。

(b) 直交集成板の品質は、「建築物の基礎、主要構造部等に使用する建築材料並びにこれらの建築材料が適合すべき日本工業規格又は日本農林規格及び品質に関する技術的基準を定める件」(平成12年5月31日 建設省告示第1446号)による。

(c) 直交集成板の強度は、「特殊な許容応力度及び特殊な材料強度を定める件」(平成13年6月12日 国土交通省告示第1024号)による。

(5) 木材を用いた耐火構造
木材を用いて耐火構造とする場合は、「耐火構造の構造方法を定める件」 (平成12 年5月 30日 建設省告示第1399号)に基づくもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとし、適用は特記による。

4.1.6 用語

木造標準仕様書において用いる用語の意義は、次による。

軸組構法(壁構造系)
建築基準法施行令第46条第4項の表1に掲げる軸組 (壁、筋かいなど。一般に耐力壁と総称されるもの。) に基づく水平力抵抗要素を主に用いた軸組構法を総称したもの
軸組構法(軸構造系)
軸組構法 (壁構造系) 以外の軸組構法を総称したもの
構造耐力上主要な部分
建築基準法施行令第1条第三号に規定する構造耐力上主要な部分
主要構造部
建築基準法第2条第五号に規定する主要構造部
耐火構造
建築基準法第2条第七号に規定する耐火構造
準耐火構造
建築基準法第2条第七の二号に規定する準耐火構造
防火構造
建築基準法第2条第八号に規定する防火構造
木材等の加工工場
加工図に基づき、構造耐力上主要な部分に用いる部材を加工する工場
出荷証明書
木材の品質 (規格又は認定、強度、含水率、性能等) や出荷数量等を記録した証明書
構造材
軸組、小屋組、床組等建物の骨組を構成する部材
造作材
なげし、かもい、羽目板等の仕上材として取り付ける物を構成する部材
下地材
仕上面の裏面にあって、仕上材を取り付ける部材の総称
ただし、7章[枠組壁工法工事]における下地材は、仕上材の裏面にあって、構造材として使用する部材
下張材
仕上材の裏面にあって、仕上材を取り付ける面状の部材
接合金物
構造材どうしを接合するための金物
接合具
部材どうしを接合するための釘、かすがい、ボルト等の金物
ひき立て寸法
木材をのこ引きしたままの状態の木材断面寸法
仕上り寸法
かんな掛け等で木材表面を仕上げたあとの木材断面寸法
のこ目
のこ引きしたあとに部材の表面に残ったのこ刃の跡
さか目
木目に逆らって削った面
継手
主に、線材どうしを直線方向に接合する場合の接合部の名称。
板材を短辺方向にはぐ接合部にも使うことがある。
仕口
線材どうしが角度をもって接合する場合の接合部の名称。
面材の長辺どうし、長辺と短辺をはぐ接合にも使うことがある。
見付け平使い
長方形断面部材の長辺を見付け部分に用いる方法
板そば・耳
長辺、短辺のうち、短辺方向の端部の面
目地又は接合部分等を同一軸線上にそろえないこと。
胴付き
木口が他材の面に合わさった面
見え掛り
完成後、目に見える部分
見え隠れ
完成後、他の部材等に覆われ、隠れる部分
耐力壁
力を負担する壁。特に水平力を負担する壁をいう場合がある。
軸組耐力壁
軸組構法については、柱と柱の間に筋かいを入れて造る耐力壁
面材耐力壁
軸組構法については、壁に構造用面材を張って造る耐力壁
壁量
構造計算に使用する耐力壁の量を算定する数量
構造用面材
筋かいを入れた軸組と同等以上の耐力を有する、軸組及び床・屋根の水平構面に用いる構造用合板等の材料
さね
板の接合法で、一方に凸形の突起、他方に凹形の溝を付けたもの
ねこ土台
土台と基礎との間にねこ (土台と基礎の間にかい込むものの総称) を挟んで隙間を設け、床下の換気をうながす工法
木組み
木造建築で、材木に切り込みを入れて組み合わせること。
縦振動ヤング係数
試験体の一方の木口面をハンマーで軽くたたいて試験体を縦振動させ、他方の木口面近くに設置したマイクロホンで材中を伝わる縦波を音としてとらえ、サウンドアナライザーによって分析し、材料の基本振動数を測定することによって算出したヤング係数
熱橋
外壁と内壁の間にある極端に熱伝導率の大きな部品などが熱を伝える現象
メタルプレートコネクター
生け花に用いる剣山のような形状をした金物で、主として屋根トラスや床の平行トラスの接点部に用いられるもの
合板ガセット
トラスの接点で部材を接合するために使う構造用合板を用いたガセットプレート
目回り
木材の割れ方で、髄を中心に年輪に沿って円形に生ずるもの
セトリング
丸太組構法において、丸太組用木材の重みや乾燥収縮により、水平に積んだ丸太組用木材が沈下をおこし、壁の高さが低くなる現象
平均年輪幅
一定長さの間にある年輪幅の平均値。
通常mmで示し、育成の度合いを表す。
矢高
木材の反りの度合いを示す語で、材の両端を結ぶ直線と反りの最高点との距離
繊維傾斜
木理の傾きのこと。
木理とは、樹木の樹軸や木材の軸方向に対する細胞の並び方のこと。
このページは、国土交通省のWebサイトで公開されている 国土交通省大臣官房官庁営繕部 公共建築木造工事標準仕様書 平成31年版 をWebページ化したものです。

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全体目次/平成31年版 公共建築木造工事標準仕様書

国土交通省ウェブサイトで公開されている 国土交通省大臣官房官庁営繕部 公共建築木造工事標準仕様書 平成31年版 のPDF版をウェブページ化したものです。 この全体目次にすべてのページへのリンクがありますので、このページをブックマークしていただくと、利用していただきやすいと思います。 最終改定 令和 3 年 3 月 25 日 国営木第20号 令和2年6月9日改定版から令和3年3月25日改定版の変更か所 平成31年4月25日改定版から令和2年6月9日改定版の変更か所 PDF版で見つかった記載間違い 各章共通事項 仮設工事 土・地業・基礎工事 木造工事 軸組構法(壁構造系)工事 軸組構法(軸構造系)工事 枠組壁工法工事 丸太組構法工事 CLTパネル工法工事 木工事 防水工事 石工事 タイル工事 屋根及びとい工事 金属工事 左官工事 建具工事 塗装工事 内装工事 断熱・防露、ユニット及びその他の工事 排水工事 舗装工事 植栽工事 資 料 1章 各章共通事項 共通事項 工事関係図書 工事現場管理 材料 施工 工事検査及び技術検査 完成図等 2章 仮設工事 共通事項 縄張り、遣方、足場等 仮設物 仮設物撤去等 3章 土・地業・基礎工事 共通事項 土工事 地業工事 基礎工事 4章 木造工事 共通事項 防腐・防蟻処理 防火被覆処理 5章 軸組構法(壁構造系)工事 共通事項 材料 防腐・防蟻処理 木材の加工 搬入及び建方 軸組 小屋組 床組 壁 6章 軸組構法(軸構造系)工事 共通事項 材料 防腐・防蟻処理 木材の加工 搬入及び建方 軸組 小屋組 床組 7章 枠組壁工法工事 共通事項 材料 防腐・防蟻処理 木材等の加工 搬入及び建方 土台 床枠組 壁枠組 小屋組及び屋根 8章 丸太組構法工事 共通事項 材料

2節 防腐・防蟻処理/4章 木造工事/平成31年版 公共建築木造工事標準仕様書

4.2.1 防腐・防蟻処理 4.2.2 地盤に接する鉄筋コンクリートによる床下の防蟻処理 4.2.3 地盤の土壌の防蟻処理 4.2.4 防腐措置 4.2.1 防腐・防蟻処理 木材の防腐・防蟻処理は、次により、適用部材及び処理の種類は特記による。 (ア) 防腐・防蟻処理が不要な樹種による製材 「製材の日本農林規格」 (平成19年8月29日 農林水産省告示第1083号) 及び「枠組壁工法構造用製材及び枠組壁工法構造用たて継ぎ材の日本農林規格」 (昭和49年7月8日 農林省告示第600号) に基づく心材の耐久性区分D1の樹種の心材のみを用いた製材は、次の(イ)及び(ウ)による薬剤による処理の適用を省略できる。 (イ) 薬剤の加圧注入による防腐・防蟻処理 (a) 製材等の加圧注入による防腐・防蟻処理は、「製材の日本農林規格」又は「枠組壁工法構造用製材及び枠組壁工法構造用たて継ぎ材の日本農林規格」の保存処理の性能区分K2からK4までの区分に適合するもの若しくはこれと同等の保存処理性能のものとし、保存処理の性能区分及びインサイジングの適用は特記による。 (b) 人体への安全性及び環境への影響について配慮され、かつ、JIS K 1570 (木材保存剤)に基づく加圧注入用木材保存剤又はこれと同等の木材保存剤を用いて、JIS A 9002 (木質材料の加圧式保存処理方法) に基づく加圧式保存処理を行うものとし、インサイジングの適用は特記による。 なお、JIS A 9002に基づく使用薬剤、注入量等の証明書を、監督職員に提出する。 (c) 加圧注入処理を行ったのち、加工、切断、孔あけ等を行った箇所は、(ウ)により処理を行う。 (ウ) 薬剤の塗布等による防腐・防蟻処理 (a) 人体への安全性及び環境への影響について配慮され、かつ、JIS K 1571 (木材保存剤―性能基準及びその試験方法) に適合する表面処理用木材保存剤又はこれと同等の性能を有する木材保存剤による処理を行う。 ただし、附属書A(規定)に基づく表面処理用木材保存剤による処理の適用、薬剤の種類及び適用部材は、特記による。 なお、処理に使用した薬剤、使用量等の記録を監督職員に提出する。 (b) 処理の方法は、特記による。 特記がなければ、次による。 ① 処理面の汚れ及び付着物を取り除

4節 透湿防水シート、防水テープ及び改質アスファルトフェルト工事/11章 防水工事/平成31年版 公共建築木造工事標準仕様書

11.4.1 一般事項 11.4.2 材料 11.4.3 施工 11.4.1 一般事項 この節は、外壁を取り付ける場合の透湿防水シート、防水テープ及び改質アスファルトフェルトを留め付ける工事に適用する。 11.4.2 材料 (1) 透湿防水シートは、JIS A 6111 (透湿防水シート) に規定する透湿防水シートBとする。 (2) 防水テープ (ア) 両面粘着防水テープの幅は、特記による。 特記がなければ50mm幅以上のものを使用し、傷やしわがないものとする。 (イ) 両面粘着防水テープは、製造所が定める使用可能期間以内に使用する。 (ウ) 両面粘着防水テープは、表11.4.1の性能基準に適合し、10年間の防水機能を検証したものとする。 また、片面粘着防水テープは、両面粘着防水テープの性能基準に準ずる製品とする。 (3) 改質アスファルトフェルト 改質アスファルトフェルトは、表11.4.2の品質に適合したものとする。 (4) ステープルは、JIS A 5556 (工業用ステープル) による。 11.4.3 施工 (1) 施工条件 (ア) 降雨・降雪時、降雨・降雪が予想される場合又は降雨・降雪後で下地が未乾燥の場合は、施工を行わない。 (イ) 防腐・防蟻処理された胴縁を使用する場合、透湿防水シート施工後、降雨・降雪等で胴縁及び透湿防水シートを濡らさないよう、直ちに外装材を設置すること。 (ウ) 防水テープの施工は、5℃未満では原則行わない。 (エ) 防水テープの施工は、被着体の乾燥のほか、油分、ほこり、木屑等の汚れを除去したうえで行う。 (2) 透湿防水シート、防水テープ及び先張り防水シートの工法 (ア) 透湿防水シートの施工は、開口部回り、外壁上下端部及び取合い部の雨水処理、水切り取付け等の工事終了後に行う。 (イ) 柱、間柱の間隔、段差、不陸などを確認し、不具合がある場合は修正し、柱・間柱あるいは耐力面材の上に透湿防水シートを張る。 なお、外張断熱工法とする場合は、断熱材の上に張る。 (ウ) 透湿防水シートは、シートを横方向に下部から上部に積み上げる、よろい張りを原則とする。 (a) 重なりは、上下幅90mm以上とする。 左右の重なりは構造用面材がない場合は、柱 (間柱) と間柱 (柱)の間隔 (左