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4節 木材の加工/8章 丸太組構法工事/平成31年版 公共建築木造工事標準仕様書

8.4.1 加工図

木材の加工図を作成し、監督職員に提出する。

8.4.2 丸太組壁用木材の断面加工

(1) 機械加工

(ア) 機械加工の丸太組壁用製材の断面形状は、図8.4.1により、適用は特記による。

(イ) さね形状は、特記による。
特記がなければ、製造所の仕様による。

(ウ) 見付高さ、重なり幅及び部材幅は、特記による。

(エ) 加工精度は、表8.4.1による。

表8.4.1 機械加工の許容誤差寸法
図 8.4.1 機械加工の丸太組壁用木材の断面表示及び重なり幅

(2) 手加工

(ア) 手加工の丸太組壁用丸太材の断面寸法の直径については、平均径とする。
なお、平均径は、Σ[(元口径+末口径) )/2]/全数とする。

(イ) 見付高さは、壁高さを段数で割った寸法とする。

(ウ) 根張りの影響を考慮して、元口から1m部位の直径と元口直径との差は、6cm以内とする。

(エ) 重なり幅は、最小の部位の寸法とする。

(オ) 丸太材の加工に当たっては、材の重なり幅をできるだけ広くとる。

8.4.3 丸太組壁用木材の交差部形状加工

(1) 交差部の位置及び形状は、特記による。
特記がなければ、交差部の形状は、製造所の仕様による。

(2) 丸太組壁の梁間方向と桁行方向の交差部は、丸太材等を隙間なくかみ合わせ、出隅においては、外壁面から200mm以上端部を突き出させる。
なお、壁面から200mm未満の場合の補強方法は、特記による。

(3) 防水テープ用の彫込みは、位置と大きさに注意し、部材の構造性能を損なわないように行う。

(4) 交差部の形状加工において、余分な彫込み及び切込みを行わない。

(5) 交差部のかみ合せの程度は、表8.4.2による。

表8.4.2 交差部のかみ合せの程度

8.4.4 丸太組壁用木材の孔あけ加工

(1) 孔あけ加工は、電動ドリルで行い、孔あけ位置及び孔径は、特記による。
孔あけの際の端あきは、図8.4.2により、だぼ及び通しボルトの径の7倍以上を確保する。
なお、だぼは、図8.4.2により、丸太径の1/2以上埋め込む。

図 8.4.2 端あき及びだぼの埋め込み深さ

(2) 木だぼの孔径は、次による。

(ア) 角型だぼの場合は、だぼ断面の対角線長さより孔径を小さく(-3mm程度)する。

(イ) 円形だぼの場合は、だぼ径より孔径を小さく(-1mm程度)する。

(3) 鋼製だぼの孔径は、だぼが、だぼ孔に密着(+3mm程度)するように孔あけを行う。

(4) ラグスクリューだぼの孔径は、次による。

(ア) ラグスクリューの胴部径とスクリュー部径のそれぞれに基づく2段の孔あけ加工とする。

(イ) 胴部の孔あけは、胴部径と同径とし、その長さは胴部長さまでとする。

(ウ) スクリュー部の孔あけは、スクリュー径の50~70%とし、その長さはスクリュー部長さと同じとする。

(エ) スクリューの頭部は、沈込み量を見込んだ彫込みをして納める。

(5) 通しボルトの孔あけ加工は、高ナットの径を考慮した孔径とする。

8.4.5 丸太組壁用木材の表面仕上げ

(1) 表面の仕上げ程度は、特記による。
特記がなければ、次による。

(ア) 機械加工の場合は、自動機械かんな掛け仕上げとする。

(イ) 手加工の場合は、ちょうな、曲面かんな又はディスクサンダー掛けとする。

(2) 木材保護塗料塗りは、「公共建築工事標準仕様書 (建築工事編) 」18章13節[木材保護塗料塗り (WP) ]による。

8.4.6 丸太組壁以外に用いる木材の加工及び表面仕上げ

丸太組壁以外に用いる製材、集成材、丸太材及び枠組材の加工は、次による。

(ア) 仕口及び継手の形状加工

(a) 仕口及び継手の工法は、特記による。

(b) 仕口及び継手の形状加工のための彫込みは、位置と大きさに注意し、部材の構造性能を損なわないように行う。

(c) 仕口及び継手の形状加工において、余分な彫込み及び切込みを行わない。

(d) のこ引きのとき、横引きを深くしてはならない。

(e) 込み栓孔は、角孔とし、接合する両方の材を引き寄せるように加工する。

(f) 仕口及び継手のかみ合せの程度は、表 8.4.3による。

表8.4.3 仕口及び継手のかみ合せの程度

(イ) 孔あけ加工

(a) ボルトの孔あけ加工は、ボルトが木部のボルト孔に密着するように、孔あけを行う。
また、ボルトの径に加える木部のボルト孔の大きさは、特記による。
特記がなければ、表8.4.4による。

表 8.4.4 ボルトの径に加える木部のボルト孔あけ加工の大きさ

(b) ラグスクリューの孔あけ加工は、次による。

① ラグスクリューの胴部径とスクリュー部径のそれぞれに基づく2段の孔あけ加工とする。

② 胴部の孔あけは、胴部径と同径とし、その長さは胴部長さまでとする。

③ スクリュー部の孔あけは、スクリュー径の50~70%程度とし、その長さはスクリュー部長さに同じとする。

(c) ドリフトピンの孔径は、特記による。
特記がなければ、ピン径と同径とする。

(d) 木だぼの孔あけは、木だぼと同径とする。

(ウ) 表面の仕上げ 見え掛り面の表面の仕上げ程度は、機械加工 (製材・構造用集成材) の場合は、表 8.4.5及び表 8.4.6、手加工 (製材) の場合は、表 8.4.7、機械加工 (丸太材) の場合は、表8.4.8、手加工 (丸太材) の場合は、表 8.4.9により、種別は特記による。
特記がなければ、機械加工 (構造用集成材) の仕上げの程度は、B種とする。

表 8.4.5 機械加工による仕上げの程度(製材)
表 8.4.6機械加工による仕上げの程度(構造用集成材)
表8.4.7 手加工による仕上げの程度(製材)
表 8.4.8 機械加工による仕上げの程度(丸太材)
表8.4.9 手加工による仕上げの程度(丸太材)

(エ) 木材保護塗料塗りは、「公共建築工事標準仕様書 (建築工事編) 」18章13節[木材保護塗料塗り (WP) ]により、適用は特記による。

8.4.7 丸太組壁用木材の継手加工及び継手の補強方法

(1) 耐力壁を構成する丸太等には、原則として、継手を設けない。
ただし、やむを得ず継手を設ける場合には、次の箇所を避ける。
なお、1交差部間に2か所以上の継手を設けない。

(ア) 開口部の上下材で直接開口部に接する部分

(イ) 両端のみに直交壁がある壁

(ウ) 上下材に継手がある部分に挟まれた材

(2) 丸太組壁用木材に設ける継手の方法は、特記による。
特記がなければ、次のいずれかによる。

(ア) 目違い継ぎ、ひら金物釘打ち
ひら金物釘打ちは、(公財)日本住宅・木材技術センターが規定する「接合金物規格 (Zマーク表示金物) 」に適合するものとする。

(イ) 腰掛あり継ぎ、ボルト締め

(ウ) 突付け継ぎ、雇いざね及びだぼ (又はボルト) の挿入

(3) 交差部の中央で継手を設ける場合は、図8.4.3により、交差部中央から450mm以内の位置で、だぼ又は通しボルトで補強する。

図 8.4.3 交差部中央での継手の補強方法

(4) 継手は、上下に接する材においては同じ位置とならないように設ける。

(5) 継手部分に隙間が生じるおそれのある場合は、あり継手、鎌継手及びさね継手等を用いて、継手からの雨水の浸入がないようにする。

8.4.8 丸太組壁の端部及び開口部周囲の補強方法

(1) 耐力壁の端部及び開口部周囲を、だぼ又は通しボルトにより補強する場合は、8.4.4による孔あけ加工を行う。

(2) 耐力壁の端部及び開口部周囲に補強材を入れて補強する場合の樹種、断面寸法及び取付け方法は、特記による。

8.4.9 仮組立

丸太組壁の仮組立の適用は特記による。
ただし、手加工による丸太組壁加工材は、仮組みを行う。

8.4.10 製品確認

丸太組壁加工材の断面寸法、長さ、丸太組の重なり幅、さね加工の精度、交差部の精度、継手の位置及び加工、接合具の取付け位置等について、全て確認を行い、記録を監督職員に提出する。

このページは、国土交通省のWebサイトで公開されている 国土交通省大臣官房官庁営繕部 公共建築木造工事標準仕様書 平成31年版 をWebページ化したものです。

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国土交通省ウェブサイトで公開されている 国土交通省大臣官房官庁営繕部 公共建築木造工事標準仕様書 平成31年版 のPDF版をウェブページ化したものです。 この全体目次にすべてのページへのリンクがありますので、このページをブックマークしていただくと、利用していただきやすいと思います。 最終改定 令和 3 年 3 月 25 日 国営木第20号 令和2年6月9日改定版から令和3年3月25日改定版の変更か所 平成31年4月25日改定版から令和2年6月9日改定版の変更か所 PDF版で見つかった記載間違い 各章共通事項 仮設工事 土・地業・基礎工事 木造工事 軸組構法(壁構造系)工事 軸組構法(軸構造系)工事 枠組壁工法工事 丸太組構法工事 CLTパネル工法工事 木工事 防水工事 石工事 タイル工事 屋根及びとい工事 金属工事 左官工事 建具工事 塗装工事 内装工事 断熱・防露、ユニット及びその他の工事 排水工事 舗装工事 植栽工事 資 料 1章 各章共通事項 共通事項 工事関係図書 工事現場管理 材料 施工 工事検査及び技術検査 完成図等 2章 仮設工事 共通事項 縄張り、遣方、足場等 仮設物 仮設物撤去等 3章 土・地業・基礎工事 共通事項 土工事 地業工事 基礎工事 4章 木造工事 共通事項 防腐・防蟻処理 防火被覆処理 5章 軸組構法(壁構造系)工事 共通事項 材料 防腐・防蟻処理 木材の加工 搬入及び建方 軸組 小屋組 床組 壁 6章 軸組構法(軸構造系)工事 共通事項 材料 防腐・防蟻処理 木材の加工 搬入及び建方 軸組 小屋組 床組 7章 枠組壁工法工事 共通事項 材料 防腐・防蟻処理 木材等の加工 搬入及び建方 土台 床枠組 壁枠組 小屋組及び屋根 8章 丸太組構法工事 共通事項 材料

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4節 透湿防水シート、防水テープ及び改質アスファルトフェルト工事/11章 防水工事/平成31年版 公共建築木造工事標準仕様書

11.4.1 一般事項 11.4.2 材料 11.4.3 施工 11.4.1 一般事項 この節は、外壁を取り付ける場合の透湿防水シート、防水テープ及び改質アスファルトフェルトを留め付ける工事に適用する。 11.4.2 材料 (1) 透湿防水シートは、JIS A 6111 (透湿防水シート) に規定する透湿防水シートBとする。 (2) 防水テープ (ア) 両面粘着防水テープの幅は、特記による。 特記がなければ50mm幅以上のものを使用し、傷やしわがないものとする。 (イ) 両面粘着防水テープは、製造所が定める使用可能期間以内に使用する。 (ウ) 両面粘着防水テープは、表11.4.1の性能基準に適合し、10年間の防水機能を検証したものとする。 また、片面粘着防水テープは、両面粘着防水テープの性能基準に準ずる製品とする。 (3) 改質アスファルトフェルト 改質アスファルトフェルトは、表11.4.2の品質に適合したものとする。 (4) ステープルは、JIS A 5556 (工業用ステープル) による。 11.4.3 施工 (1) 施工条件 (ア) 降雨・降雪時、降雨・降雪が予想される場合又は降雨・降雪後で下地が未乾燥の場合は、施工を行わない。 (イ) 防腐・防蟻処理された胴縁を使用する場合、透湿防水シート施工後、降雨・降雪等で胴縁及び透湿防水シートを濡らさないよう、直ちに外装材を設置すること。 (ウ) 防水テープの施工は、5℃未満では原則行わない。 (エ) 防水テープの施工は、被着体の乾燥のほか、油分、ほこり、木屑等の汚れを除去したうえで行う。 (2) 透湿防水シート、防水テープ及び先張り防水シートの工法 (ア) 透湿防水シートの施工は、開口部回り、外壁上下端部及び取合い部の雨水処理、水切り取付け等の工事終了後に行う。 (イ) 柱、間柱の間隔、段差、不陸などを確認し、不具合がある場合は修正し、柱・間柱あるいは耐力面材の上に透湿防水シートを張る。 なお、外張断熱工法とする場合は、断熱材の上に張る。 (ウ) 透湿防水シートは、シートを横方向に下部から上部に積み上げる、よろい張りを原則とする。 (a) 重なりは、上下幅90mm以上とする。 左右の重なりは構造用面材がない場合は、柱 (間柱) と間柱 (柱)の間隔 (左