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5節 粘土瓦葺/14章 屋根及びとい工事/平成31年版 公共建築木造工事標準仕様書

14.5.1 一般事項
14.5.2 材料
14.5.3 工法

14.5.1 一般事項

この節は、粘土瓦葺 (引掛桟瓦葺工法) を使用した屋根に適用する。

14.5.2 材料

(1) 粘土瓦は、JIS A 5208 (粘土がわら) に基づき、次による。

(ア) 製法による区分、形状による区分、寸法による区分、産地等は、特記による。

(イ) 役物瓦の種類、雪止め瓦の使用等は、特記による。

(ウ) JIS A 5208に基づく凍害試験等を行う場合は、特記による。

(2) 瓦桟木及び桟木取付け用釘

(ア) 瓦桟木の材質、寸法等は、特記による。
特記がなければ、材質は杉とし、寸法は、幅21mm以上、高さ15mm以上として、4.2.1[防腐・防蟻処理]による防腐処理を施したものとする。
防腐処理の方法は、特記による。

(イ) 桟木の取付けに使用する釘は、JIS A 5508 (くぎ) に基づき、材質はステンレス製とし長さ45mm以上のものとする。

(3) 棟補強用心材の材質、寸法は、特記による。
特記がなければ、材質は杉とし、寸法は、幅40mm以上、高さ30mm以上として、4章2節[防腐・防蟻処理]による防腐処理を施したものとする。
また、防腐処理の方法は、特記による。

(4) 瓦留付け用釘、緊結線、棟補強用金物等

(ア) 瓦留付けに使用する釘の材質はステンレス製又は銅製とし、胴部の形状は振動等で容易に抜けないものとする。
また、径は2.3㎜以上、長さは先端が野地板厚さの2分の1以上に達する長さとする。

(イ) 補強に使用する釘及びねじは、ステンレス製とする。

(ウ) パッキン付きステンレスねじのパッキンは、耐亀裂性及び耐候性を有し、かつ、ねじを締めても頭部から飛び出さない材質及び形状のものとする。

(エ) 緊結線は、合成樹脂等で被覆された径1.0mm以上の銅線又は径0.9mm以上のステンレス製とする。

(オ) 棟補強等に使用する金物は、ステンレス製又は溶融亜鉛めっき処理を行った鋼製とし、材質、形状、寸法及び留付け方法は特記による。

(5) 下葺材料は、14.2.2(2)による。

(6) 葺土は、なんばんしっくい又はモルタルとする。
なんばんしっくいは、既調合のものを使用し、その調合は製造所の仕様による。
モルタルの調合 (容積比) は、セメント1:砂4とし、混和剤は適量使用する。

14.5.3 工法

(1) 粘土瓦葺は、建築基準法に基づく、風圧力及び積雪荷重に対応したものとし、工法は特記による。

(2) 下葺の工法は、14.2.3(2)による。

(3) 瓦桟木の取付けは、次による。

(ア) 桟木の取付け位置は、軒瓦の出寸法、登り寸法及び桟瓦の登り働き寸法により定める。

(イ) 桟木の留付けは、14.5.2(2)(イ)による釘を用いて垂木ごとに行う。
ただし、木材以外の野地板の材料及び留付け工法は、特記による。

(4) 瓦の取付けは、特記がなければ、次による。

(ア) 桟瓦は、全て1本以上の釘で瓦桟木に留め付ける。

(イ) 軒瓦及び袖瓦は、3か所以上緊結線又は釘で留め付ける。

(5) 棟の工法は、次により、適用は特記による。

(ア) 冠瓦伏せ棟の場合は、次による。

(a) 冠瓦は、7寸丸冠瓦又はF形用冠瓦とする。

(b) 14.5.2(4)(オ)の棟補強用心材取付け金物は、躯体又は野地板に間隔 900㎜程度で留め付け、これに棟補強用心材を取り付ける。

(c) 棟補強用心材取付け金物は、野地板へ小ねじで固定する。
また、ボルトの取付けは、緩みや抜け出すことのないよう棟木へ40mm以上埋め込み固定する。

(d) 冠瓦を、パッキン付きステンレスねじで棟補強用心材に留め付ける。

(e) 葺土は、冠瓦の横幅内法寸法の2/3程度の幅とし、桟瓦と冠瓦は、葺土で密着するように取り付ける。

図 14.5.1 冠瓦伏せ棟

(イ) のし積み棟の場合は、次による。

(a) 棟補強用心材の留付けは、(ア)(b)による。

(b) 棟補強用心材取付け金物の固定は、(ア)の(b)及び(c)による。

(c) のし瓦は、14.5.2(4)(エ)による緊結線を用いて互いに緊結する。

(d) 冠瓦の留付けは、棟木から出した緊結線で留め付ける方法又はパッキン付きステンレスねじで棟補強用心材に固定する方法とする。

(e) 最下段の葺土(台土)は、のし瓦の段数と瓦上下のちり寸法を考慮した幅とし、最下段ののし瓦 (台のし)外面から30㎜程度内側に納める。
また、上部のし瓦の下の葺土は、雨水が入らないように、各段ごとにのし瓦の外面から30mm程度内側に納める。

図 14.5.2 のし積み棟(参考)

(ウ) (ア)及び(イ)に使用する葺土は、14.5.2(6)によるなんばんしっくい又はモルタルとする。

(エ) 屋根通気下地の場合は、10.4.2 [屋根下地](2)による。

このページは、国土交通省のWebサイトで公開されている 国土交通省大臣官房官庁営繕部 公共建築木造工事標準仕様書 平成31年版 をWebページ化したものです。

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全体目次/平成31年版 公共建築木造工事標準仕様書

国土交通省ウェブサイトで公開されている 国土交通省大臣官房官庁営繕部 公共建築木造工事標準仕様書 平成31年版 のPDF版をウェブページ化したものです。 この全体目次にすべてのページへのリンクがありますので、このページをブックマークしていただくと、利用していただきやすいと思います。 最終改定 令和 3 年 3 月 25 日 国営木第20号 令和2年6月9日改定版から令和3年3月25日改定版の変更か所 平成31年4月25日改定版から令和2年6月9日改定版の変更か所 PDF版で見つかった記載間違い 各章共通事項 仮設工事 土・地業・基礎工事 木造工事 軸組構法(壁構造系)工事 軸組構法(軸構造系)工事 枠組壁工法工事 丸太組構法工事 CLTパネル工法工事 木工事 防水工事 石工事 タイル工事 屋根及びとい工事 金属工事 左官工事 建具工事 塗装工事 内装工事 断熱・防露、ユニット及びその他の工事 排水工事 舗装工事 植栽工事 資 料 1章 各章共通事項 共通事項 工事関係図書 工事現場管理 材料 施工 工事検査及び技術検査 完成図等 2章 仮設工事 共通事項 縄張り、遣方、足場等 仮設物 仮設物撤去等 3章 土・地業・基礎工事 共通事項 土工事 地業工事 基礎工事 4章 木造工事 共通事項 防腐・防蟻処理 防火被覆処理 5章 軸組構法(壁構造系)工事 共通事項 材料 防腐・防蟻処理 木材の加工 搬入及び建方 軸組 小屋組 床組 壁 6章 軸組構法(軸構造系)工事 共通事項 材料 防腐・防蟻処理 木材の加工 搬入及び建方 軸組 小屋組 床組 7章 枠組壁工法工事 共通事項 材料 防腐・防蟻処理 木材等の加工 搬入及び建方 土台 床枠組 壁枠組 小屋組及び屋根 8章 丸太組構法工事 共通事項 材料

2節 防腐・防蟻処理/4章 木造工事/平成31年版 公共建築木造工事標準仕様書

4.2.1 防腐・防蟻処理 4.2.2 地盤に接する鉄筋コンクリートによる床下の防蟻処理 4.2.3 地盤の土壌の防蟻処理 4.2.4 防腐措置 4.2.1 防腐・防蟻処理 木材の防腐・防蟻処理は、次により、適用部材及び処理の種類は特記による。 (ア) 防腐・防蟻処理が不要な樹種による製材 「製材の日本農林規格」 (平成19年8月29日 農林水産省告示第1083号) 及び「枠組壁工法構造用製材及び枠組壁工法構造用たて継ぎ材の日本農林規格」 (昭和49年7月8日 農林省告示第600号) に基づく心材の耐久性区分D1の樹種の心材のみを用いた製材は、次の(イ)及び(ウ)による薬剤による処理の適用を省略できる。 (イ) 薬剤の加圧注入による防腐・防蟻処理 (a) 製材等の加圧注入による防腐・防蟻処理は、「製材の日本農林規格」又は「枠組壁工法構造用製材及び枠組壁工法構造用たて継ぎ材の日本農林規格」の保存処理の性能区分K2からK4までの区分に適合するもの若しくはこれと同等の保存処理性能のものとし、保存処理の性能区分及びインサイジングの適用は特記による。 (b) 人体への安全性及び環境への影響について配慮され、かつ、JIS K 1570 (木材保存剤)に基づく加圧注入用木材保存剤又はこれと同等の木材保存剤を用いて、JIS A 9002 (木質材料の加圧式保存処理方法) に基づく加圧式保存処理を行うものとし、インサイジングの適用は特記による。 なお、JIS A 9002に基づく使用薬剤、注入量等の証明書を、監督職員に提出する。 (c) 加圧注入処理を行ったのち、加工、切断、孔あけ等を行った箇所は、(ウ)により処理を行う。 (ウ) 薬剤の塗布等による防腐・防蟻処理 (a) 人体への安全性及び環境への影響について配慮され、かつ、JIS K 1571 (木材保存剤―性能基準及びその試験方法) に適合する表面処理用木材保存剤又はこれと同等の性能を有する木材保存剤による処理を行う。 ただし、附属書A(規定)に基づく表面処理用木材保存剤による処理の適用、薬剤の種類及び適用部材は、特記による。 なお、処理に使用した薬剤、使用量等の記録を監督職員に提出する。 (b) 処理の方法は、特記による。 特記がなければ、次による。 ① 処理面の汚れ及び付着物を取り除

4節 透湿防水シート、防水テープ及び改質アスファルトフェルト工事/11章 防水工事/平成31年版 公共建築木造工事標準仕様書

11.4.1 一般事項 11.4.2 材料 11.4.3 施工 11.4.1 一般事項 この節は、外壁を取り付ける場合の透湿防水シート、防水テープ及び改質アスファルトフェルトを留め付ける工事に適用する。 11.4.2 材料 (1) 透湿防水シートは、JIS A 6111 (透湿防水シート) に規定する透湿防水シートBとする。 (2) 防水テープ (ア) 両面粘着防水テープの幅は、特記による。 特記がなければ50mm幅以上のものを使用し、傷やしわがないものとする。 (イ) 両面粘着防水テープは、製造所が定める使用可能期間以内に使用する。 (ウ) 両面粘着防水テープは、表11.4.1の性能基準に適合し、10年間の防水機能を検証したものとする。 また、片面粘着防水テープは、両面粘着防水テープの性能基準に準ずる製品とする。 (3) 改質アスファルトフェルト 改質アスファルトフェルトは、表11.4.2の品質に適合したものとする。 (4) ステープルは、JIS A 5556 (工業用ステープル) による。 11.4.3 施工 (1) 施工条件 (ア) 降雨・降雪時、降雨・降雪が予想される場合又は降雨・降雪後で下地が未乾燥の場合は、施工を行わない。 (イ) 防腐・防蟻処理された胴縁を使用する場合、透湿防水シート施工後、降雨・降雪等で胴縁及び透湿防水シートを濡らさないよう、直ちに外装材を設置すること。 (ウ) 防水テープの施工は、5℃未満では原則行わない。 (エ) 防水テープの施工は、被着体の乾燥のほか、油分、ほこり、木屑等の汚れを除去したうえで行う。 (2) 透湿防水シート、防水テープ及び先張り防水シートの工法 (ア) 透湿防水シートの施工は、開口部回り、外壁上下端部及び取合い部の雨水処理、水切り取付け等の工事終了後に行う。 (イ) 柱、間柱の間隔、段差、不陸などを確認し、不具合がある場合は修正し、柱・間柱あるいは耐力面材の上に透湿防水シートを張る。 なお、外張断熱工法とする場合は、断熱材の上に張る。 (ウ) 透湿防水シートは、シートを横方向に下部から上部に積み上げる、よろい張りを原則とする。 (a) 重なりは、上下幅90mm以上とする。 左右の重なりは構造用面材がない場合は、柱 (間柱) と間柱 (柱)の間隔 (左