14.3.2 材料
14.3.3 加工
14.3.4 平葺 (一文字葺) の工法
14.3.5 心木あり瓦棒葺の工法
14.3.6 心木なし瓦棒葺の工法
14.3.7 横葺の工法
14.3.8 立て平葺の工法
14.3.1 一般事項
この節は、金属板による平葺 (一文字葺) 、心木あり瓦棒葺、心木なし瓦棒葺、横葺及び立て平葺に適用する。
また、本節に定める以外の金属板葺の場合は、特記による。
14.3.2 材料
(1) 金属板の種類は表14.3.1により、金属板の種類に応じた板及びコイルの種類、塗膜の耐久性の種類、めっき付着量、厚さ等は、特記による。
特記がなければ、JIS G 3322 (塗装溶融55%アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板及び鋼帯) に基づく屋根用コイルとし、種類及び記号による表示は、特記による。
(2) 留付け用部材
(ア) 留付け用部材は、屋根材に応じ、亜鉛めっき処理された鋼製又はステンレス製とする。
(イ) 固定釘等
(a) 固定釘は、JIS A 5508 (くぎ) に基づき、材質はJIS H 8610 (電気亜鉛めっき) に基づく Ep-Fe/Zn[2]以上の亜鉛めっき処理された鉄又はステンレス製 (SUS304)とする。
(b) 木ねじは、JIS B 1112 (十字穴付き木ねじ) 又は JIS B 1135 (すりわり付き木ねじ)に基づき、材質は(a) による亜鉛めっき処理された鋼製又はステンレス製 (SUS304) とする。
(c) 屋根板の種類による固定釘等の材質は、表 14.3.2により、材質は、特記による。
(ウ) 固定釘の形状及び寸法は、表14.3.3による。
なお、木ねじを用いる場合は、釘と同等以上の引き抜き耐力を有する木ねじとする。
(エ) 心木あり瓦棒葺に用いる心木は、高さ40mm以上、幅45mm以上とし、樹種及び防腐・防蟻処理は、特記による。
(オ) その他の材料は、屋根葺工法に応じた専門工事業者の仕様による。
14.3.3 加工
(1) 金属板は、金属板葺形式に応じて、所定の形状及び寸法に加工する。
金属板の折り曲げは、塗装又はめっき及び地肌に、亀裂が生じないように行う。
(2) 金属板の接合は、次による。
(ア) 一重はぜ (小はぜ) のはぜ幅は、上はぜ12mm程度、下はぜ15mm程度とする。
(イ) 二重はぜ (巻きはぜ) のはぜ幅は、1折り目のはぜは(ア)と同様とし、2折り目は上下はぜ同寸とする。
(3) 金属板の留付けは、吊子、通し吊子又は通し付け子とし、取付け工法は次による。
(ア) 吊子は、幅30mm、長さ70~80mm内外、釘打ちとする。
(イ) 通し吊子の各部分の寸法は、特記による。
(ウ) 通し付け子は、長さ900mm内外とし、継手は突付け、通りよく取り付ける。
釘留め間隔は、特記による。
(エ) 釘打ちの釘頭は、全てシーリング処理を行う。
(4) 軒先の壁当たりは、雨押えの先端部に壁止まり役物等の水返しを設ける。
ただし、水返しは切り込みによる板金加工を行わない。
14.3.4 平葺 (一文字葺) の工法
(1) 平葺(一文字葺)は、建築基準法に基づく、風圧力及び積雪荷重に対応したものとし、工法は特記による。
(2) 加工は、次による。
(ア) 葺板の周囲四辺は、一重はぜを付ける。
上はぜは15mm、下はぜは18mm程度とする。
はぜのつくり方は、特記による。
(イ) 吊子は、葺板と同種、同厚の板で、幅30mm、長さ70mm程度とする。
(3) 一般部の葺き方
葺板のはぜは十分に掛け合わせ、均一にたたき締める。
吊子は、葺板1枚につき2枚以上とし、下はぜに掛け、下地に釘留めとする。
なお、釘の長さは25mm以上とし、吊子の間隔は、特記による。
(4) 各部工法は、次による。
(ア) 吊子及び釘の留付け間隔は、特記による。
(イ) 棟覆いは、屋根の葺板又は棟覆い板相互にはぜ掛けとし、吊子で留め付ける。
(ウ) 軒先及びけらばの、屋根端部は、同種及び同厚の板の唐草を下地に釘で留め付ける。
留付け間隔は、特記による。
屋根葺板は、唐草につかみ込んで納める。
(エ) 壁との取合い部は、次による。
(a) 雨押え板は、一方を屋根葺板、吊子にはぜ掛けとし、他端は壁際で120mm以上立ち上げ、先端をむだ折りし、壁下地に釘留めとする。
(b) 銅板葺の場合は、雨押え板の一方を屋根葺板、吊子にはぜ掛けとし、他端は壁際で90mm以上立ち上げ、先端をむだ折りし、吊子留めとする。
(c) 継手は、はぜ掛けとする。
(オ) 谷は、次による。
谷板の形状は図14.3.1に示すものとし、むだ折りには吊子を掛け、たたみはぜには葺板を掛け留める。
吊子の留付け釘の長さは32mm程度とする。
なお、谷板は長尺の板を用い、原則として、継手をつくらない。
ただし、銅板葺の場合、谷板が6m以上になる場合には、6mごとに継手を設ける。
継手は二重(巻き) はぜとする。
(カ) 雪止めを設ける場合は、特記による。
(キ) 屋根通気下地の場合は、10.4.2[屋根下地]による。
14.3.5 心木あり瓦棒葺の工法
(1) 心木あり瓦棒葺は、建築基準法に基づく、風圧力及び積雪荷重に対応したものとし、工法は特記による。
(2) 溝板、瓦棒包み板 (キャップ) とも所定の寸法に折曲げ加工する。
溝板及びキャップは、全長通し葺を標準とする。
ただし、溝板又はキャップに継手を設ける場合は、二重はぜ継ぎとし、はぜ幅15mm程度に加工する。
(3) 一般部の葺き方は、次による。
(ア) 銅板以外の板による屋根一般部分は、次による。
(a) 瓦棒及び釘の留付け間隔は、特記による。
(b) 心木は、下葺の上から垂木に釘打ち留めとする。
心木を留める釘は、垂木に40mm以上打ち込める長さとする。
(c) 溝板及びキャップの留付け方法は、特記による。
特記がなければ、溝板の両耳は、瓦棒の心木の高さまで立ち上げたうえ、キャップをかぶせ、キャップの上から心木側面に釘留めとする。
釘留めの釘長さは、38mm以上とする。
(イ) 銅板による屋根一般部分は、次による。
(a) 瓦棒、吊子及び釘の留付け間隔は、特記による。
(b) 心木は、下葺の上から垂木に釘打ち留めとする。
心木を留める釘は、垂木に40mm以上打ち込める長さとする。
(c) 溝板の両耳は、15mm程度のはぜを設け、瓦棒の心木の高さまで立ち上げる。
キャップは心木を包み、はぜ掛けのできる幅とする。
(d) 吊子は葺板と同種及び同厚とし、長さ60mm、幅30mm程度のものを心木の両側に長さ32mm以上のステンレス鋼釘で留め付ける。
(e) 溝板は、両端を吊子掛けとする。
キャップは心木にかぶせ、両端を溝板と均一にはぜ締めする。
(4) 各部工法は、次による。
(ア) 棟覆いは、次による。
(a) 銅板以外の板による心木あり瓦棒ぶきの棟部分の工法は、次による。
① 溝板端部は、八千代折りとし、心木の高さまで折り上げ、水返しをつける。
② 棟板は、キャップを押さえ、心木に釘打ち留めとする。
棟板の材質は、特記による。
棟覆いは、棟板を包み、瓦棒の部分を切り込んで両端を溝板まで折り下げそれぞれの先端は、むだ折りとし、20mm程度を屋根面に沿わせて折り曲げる。
③ 棟覆いは、棟板の側面で長さ32mm程度の釘で留め付ける。
釘打ちの間隔は、特記による。
棟包み板の継手は、一重はぜ継ぎとする。
(b) 銅板による心木あり瓦棒葺の棟部分の工法は、次による。
① 溝板端部は、八千代折りとし、心木の高さまで立ち上げ、水返しをつける。
② 棟板は、心木に釘打ち留めとする。
③ 通し付け子は、瓦棒部分では瓦棒上端までとし、溝板部分では溝板底部まで折り下げる。
この場合、それぞれの先端は、むだ折りとし、20mm程度を屋根面に沿わせて折り曲げる。
通し付け子は、棟板の両側面に長さ25mm程度の釘で留め付ける。留付け釘の間隔は、特記による。
④ 棟包み板は、通し付け子の上耳にはぜ掛けとする。
(イ) 軒先は、次による。
(a) 所定の形状寸法の唐草を、下地に長さ32mm程度の釘で、留め付ける。
間隔は、特記による。
溝板の先端部は、唐草につかみ込んで納める。
心木の先端は、所定の桟鼻で木口を包んで釘留めする。
(b) 唐草は、捨て部分を80mm以上とし、下げ部分の下端は広小舞又は登りよどの下端から10mm以上あける。
(c) 唐草の継手は、端部を各々むだ折りしたものを、長さ60mm以上に重ね合わせ、釘留めする。
(ウ) けらばは、軒先と同様の唐草を用いて納める。
けらば納めの端部の長さは、働き幅の1/2以下とする。
(エ) 水上部分の壁との取合い部
屋根と壁の取合い部は、雨押えで納める。
雨押えの一端は棟覆いに準じ、他端は壁際で120mm程度立ち上げて、むだ折りを付ける。
立ち上げた頂部は壁下地に釘留めとする。
雨押えの継手ははぜ掛けとする。
銅板葺の場合は、雨押えの立ち上げを60mm以上とし、むだ折り部分は、吊子留めとする。
その他は、上記による。
(オ) 屋根の流れ方向の壁との取合い部は、壁際に心木と同寸の部材を心木の取付けに準じて設ける。
溝板は、心木と同じ高さまで折り上げ、端部には、むだ折りを付ける。
雨押えは、前項の雨押えに準じて取り付ける。
(カ) 谷板の形状は、図14.3.1とし、心木の取付け前に取り付ける。
葺板の掛留めは、14.3.4(4)(オ)による。
(キ) 雪止めを設ける場合は、特記による。
(ク) 屋根通気下地の場合は、10.4.2 [屋根下地] (2)による。
(5) 特殊工法によるものは、各製造所の仕様によるものとし、特記による。
14.3.6 心木なし瓦棒葺の工法
(1) 心木なし瓦棒葺は、建築基準法に基づく、風圧力及び積雪荷重に対応したものとし、工法は特記による。
(2) 溝板、キャップ及び通し吊子は、ロール成形機で所定の形状寸法に加工する。
(3) 一般部の葺き方
下葺上に、溝板と通し吊子を働き幅に合わせ、交互に敷き並べ、通し吊子の底を、座金付きの固定釘で垂木に留める。
吊子の固定釘は、垂木に40mm以上打ち込める長さとする。
釘打ちの間隔は、特記による。
キャップは溝板と通し吊子になじみよくはめ込み、通し吊子及び溝板につかみ込み、二重はぜとし、均一、かつ、十分にはぜ締めを行う。
(4) 各部工法は、次による。
(ア) 棟覆いの溝板は、先端部を八千代折りして瓦棒の高さまで立ち上げ水返しを付ける。
キャップも底部を八千代折りとして立ち上げ水返しを付ける。
棟板は、キャップの上から垂木に釘打ちして留める。
棟覆いは、棟板を包み、瓦棒部分を切り込み、端部は溝板の底及びキャップの底まで折り下げる。
留め方は、棟板の側面で長さ32mm程度の釘で留める。
留付け釘の間隔は、特記による。
継手は、はぜ掛けとする。
(イ) 軒先は、唐草を仮葺の前に下地に長さ32mm程度の釘で留める。
留付け釘の間隔は、特記による。
継手は、重ね60mm以上とする。
瓦棒部分の先端に桟鼻をはめ込み、溝板及びキャップの先端を桟鼻につかみ込んで納める。
溝板の先端部も唐草につかみ込んで納める。
(ウ) けらばは、唐草を軒先同様に釘留めとする。
溝板の先端部は、唐草につかみ込んで留める。
けらば納めの端部の長さは、働き幅の1/2以下とする。
(エ) 水上部分の壁との取合い部は、溝板とキャップは棟同様に立ち上げ、水返しを付ける。
雨押えの一端は棟覆いに準じ、他端は壁際で120mm程度立ち上げて、むだ折りを付ける。
立ち上げた頂部は、壁下地に留め付ける。
屋根部材との取合いは棟覆いに準ずる。
雨押えの継手は、はぜ掛けとする。
(オ) 屋根の流れ方向に平行な壁との取合い部は、次により、適用は特記による。
(a) 雨押えを付ける場合
壁際に垂木と同寸程度の部材を取り付ける。
溝板は、この部材と同じ高さまで折り上げ、先端部に水返しを付ける。
雨押え板は、溝板の立上り部分を押さえるように取り付ける。
雨押えは、一端を壁際で120mm程度立ち上げてむだ折りを付ける。
他端は、溝板の底まで折り下げる。
上端は壁下地に留め付け、下端は雨押え板の側面に長さ32mm程度の釘で留め付ける。
留め付け釘の間隔は、特記による。
継手は、はぜ掛けとする。
(b) 雨押えを用いない場合
溝板を壁際で立ち上げ、上端部にむだ折りを付ける。
むだ折り部分に吊子を付け、壁下地に留め付ける。
吊子の間隔は、特記による。
(カ) 谷の納めは、14.3.4(4)(オ)と同様に納める。
(キ) 雪止めを設ける場合は、特記による。
(ク) 屋根通気下地の場合は、10.4.2 [屋根下地] (2)による。
(5) 特殊工法によるものは、各製造所の仕様によるものとし、特記による。
14.3.7 横葺の工法
(1) 横葺は、建築基準法に基づく、風圧力及び積雪荷重に対応したものとし、工法は特記による。
(2) 葺板は、所定の形状寸法に加工する。
(3) 一般部の葺き方
軒先側から順次棟方向に葺き上げる。
桁行方向に継手がある場合は、継手を千鳥に配置する。
(4) 棟覆いは、葺板の水上上端部を立ち上げて水返しを付ける。
棟覆いは、棟板に留め付け、両端屋根面まで折下げ、継手ははぜ掛けとする。
(5) 軒先は、所定の形状寸法の唐草を下地に留め付ける。
葺板の水下先端部を唐草につかみ込んで納める。
唐草の継手位置と葺板の継手位置が揃わないようにする。
(6) けらばの納め方は専門工事業者の仕様による。
(7) 水上部分の壁との取合い部は、雨押えの水下側は、棟覆いの方法に準じて納め、水上側は、壁際で120mm以上立ち上げ、壁下地に留め付ける。
(8) 屋根の流れ方向の壁との取合い部で、雨押えと葺板は、葺板の伸縮を吸収できるように納める。
壁際の納めは、水上部分の納め方に準ずる。
(9) 谷の納めは、14.3.4(4)(オ)と同様に納める。
(10) 雪止めを設ける場合は、特記による。
(11) 特殊工法によるものは、各製造所の仕様によるものとし、特記による。
(12) 屋根通気下地の場合は、10.4.2 [屋根下地] (2)による。
14.3.8 立て平葺の工法
(1) 立て平葺は、建築基準法に基づく、風圧力及び積雪荷重に対応したものとし、工法は特記による。
(2) 溝板は、所定の形状寸法に加工する。
(3) 一般部の葺き方
溝板を下葺上に敷き並べ吊子留めとする。
吊子の固定釘は、垂木に 40mm以上打ち込める長さとし、1つの吊子に2本とする。
はぜ締めは均一、かつ、充分に行う。
(4) 吊子の工法は、特記による。
(5) 棟覆いは、溝板のはぜ締め後、水返しをつける。
棟覆いは、14.3.4(4)(イ)に準ずる。
(6) 軒先は、所定の形状寸法の唐草を下地に留め付ける。
溝板の先端部は、唐草につかみ込んで納める。
(7) けらばは、軒先と同様の唐草を用いて納める。
けらば納めの端部の長さは、働き幅の1/2以下とする。
(8) 水上部分の壁との取合い部は、14.3.4(4)(エ)又は(オ)に準じて納める。
(9) 谷の納めは、14.3.4(4)(オ)と同様に納める。
(10) 雪止めを設ける場合は、特記による。
(11) 特殊工法によるものは、各製造所の仕様によるものとし、特記による。
(12) 屋根通気下地の場合は、10.4.2 [屋根下地] (2)による。
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