スキップしてメイン コンテンツに移動

9節 丸太組壁と取合う造作工事/8章 丸太組構法工事/平成31年版 公共建築木造工事標準仕様書

8.9.1 一般事項

この節は、丸太組壁用木材以外で構成された内装及び造作工事に適用する。
なお、木材の樹種及び寸法は、特記による。

8.9.2 支柱

(1) 支柱の上端部又は下端部には、丸太組壁の収縮に相当する収縮スペースを設ける。

(2) 支柱の上端部又は下端部には、ジャッキボルトを取り付け、丸太組壁の収縮に対応した高さ調整ができるようにする。

(3) (2)の金物の寸法、形状及び材質は、特記による。

(4) (2)の収縮スペースのジャッキボルト天端からの高さは、柱高さの3%程度を見込む。

図8.9.1 ジャッキボルト(参考)

8.9.3 間仕切壁

間仕切壁を設ける場合は次により、横架材との間に収縮スペースを設ける。

(ア) 間仕切壁等の上部と横架材の間に図8.9.2により、丸太組壁の沈み量に相当する収縮スペースを設け、幕板を間仕切壁等に添え付ける。
また、幕板は横架材に固定する。

(イ) 間仕切壁等を構成する間柱の上部に収縮スペースを設け、横架材に取り付けた添え木に対してボルト締めを行う。

(ウ) 間仕切壁と丸太組壁との取合いの間柱は、丸太組壁の収縮を考慮しスライドできるように丸太組壁に固定する。

(エ) 間仕切壁上部と上階横架材との間に耐力壁の沈み量に相当する収縮スペースをあけ、両側に幕板を取り付け、収縮スペースを被覆する。

(オ) 使用する木材の種別、樹種及び寸法は、特記による。

(カ) 収縮スペースの高さは、間仕切高さの3%程度を見込む。

図8.9.2 間仕切り壁の工法

8.9.4 内壁下地

丸太組壁の表層に内壁下地を設ける場合は次により、丸太組壁との間に収縮スペースを設ける。

(ア) 内壁下地を支える胴縁受及び間柱は、床面に受け材を設けて固定し、上端には頭つなぎを設ける。

(イ) 胴縁受及び間柱の間隔は、特記がなければ、450mm程度とする。

(ウ) 胴縁受及び間柱は、図8.9.3 により、丸太組壁に添わせ、上部で可動ボルト留め (ルーズホール方式) とするか、帯状の金物を取り付け、壁側に釘打ちし、胴縁受等とスライドさせる。

(エ) 内壁下地と天井の間に、丸太組壁の沈み量に相当する収縮スペースを設け、幕板を取り付け、空間を被覆する。

(オ) 収縮スペースは、丸太組壁高さの3%程度を見込む。

図 8.9.3 内壁下地の取付け

8.9.5 天井下地

(1) 天井周囲の野縁及び野縁受は、吊木に留め付け、丸太組壁用木材で構成された壁面との取合いは、可動にする。

(2) 天井垂れ壁は、小屋梁に取り付けるものとし、丸太組壁用木材で構成された壁との取合いは、可動にする。

8.9.6 軒天井板

切妻屋根の妻壁を丸太組壁とする場合は、軒天井板が垂木に直接取り付くので、丸太組壁の収縮による垂木のスライドに対応できるように内外の回り縁を図8.9.4 のように丸太組壁に取り付ける。

図8.9.4 内外の回り縁の取付け

8.9.7 階段

(1) 階段の取付けは、特記による。
特記がなければ、図8.9.5 により、次のいずれかの方法とする。

(ア) 側桁の取付けは、階段下部で固定とし、階段上部を床梁又は丸太組壁に対して金物等を使用して、スライドできるようにする。

(イ) 階段上部で固定とし、階段下部を床に対して金物等を使用して、スライドできるようにする。

(ウ) 階段上部で固定とし、階段下部で床との間に階高の調整材を設置する。

(2) 階高の3%程度の収縮量を見込んで取り付ける。

図8.9.5 階段の取付け

8.9.8 丸太組壁の開口部回り

(1) たて枠材の取付けは、枠受材を介して行い、丸太組壁の収縮に対してスライドできるようにする。

(2) 上枠及びたて枠上端と丸太組壁用木材との間には、丸太組壁用木材の乾燥収縮に伴う丸太組壁の沈み量に相当する収縮スペースを設ける。

(3) たて枠及び上枠の室内外とも、額縁を添え付け、丸太組壁の収縮スペース及びたて枠材を被覆し、丸太組壁の沈みに対応する。

(4) 屋外側の額縁上部には、水切りを取り付け、開口部外部は防水テープを貼り、建具の周囲から丸太組壁内への漏水を防止する。

(5) 丸太組壁の開口部周囲には、図8.9.6により、次のいずれかの方法で補強する。

(ア) 通しボルトを入れる場合は、次による。

(a) 通しボルトと開口部の間には、7d (dは通しボルトの径) 以上の端あきを設ける。

(b) 通しボルトの設置方法は、8.5.7による。

(イ) 丸太組壁用木材間に、だぼを入れる場合は、次による。

(a) だぼと開口部の間には、7d (dはだぼの径) 以上の端あきを設ける。

(b) 千鳥にするだぼの空きは、200mm程度とする。

(c) だぼの設置方法は、8.5.6による。

(ウ) 開口部周囲に補強材を添わせる場合は、次による。

(a) 丸太組壁の収縮を妨げないよう、スライドできるように丸太組壁に補強材を設置する。

(b) 補強材の上部には、丸太組壁用木材の乾燥収縮に伴う丸太組壁の沈み量に相当する収縮スペースを設ける。

(6) 収縮スペースの高さは、開口高さの3%程度を見込む。

図8.9.6 開口部回りの補強方法

8.9.9 建具回り

(1) 室内建具の取付けは、次による。

(ア) たて枠材の取付けは、枠受材を介して行い、丸太組壁の収縮に対してスライドできるようにする。

(イ) 上枠及びたて枠上端と丸太組壁用木材との間には、丸太組壁用木材の乾燥収縮に伴う丸太組壁の沈み量に相当する収縮スペースを設ける。

(ウ) たて枠及び上枠に、額縁を添え付け、丸太組壁の収縮スペース及びたて枠材を被覆し、丸太組壁の沈みに対応する。

(エ) 収縮スペースの高さは、開口高さの3%程度を見込む。

(2) 屋外建具の取付けは、次による。

(ア) 断熱材及び防水テープは次により、工法、種類及び形状は、特記による。

(a) 断熱材は、丸太組壁の収縮に追従できる吸放湿性能のある断熱材を使用する。

(b) 防水テープは、11.4.2[材料]による。

(イ) たて枠材の取付けは、枠受材を介して行い、丸太組壁の収縮に対してスライドできるようにする。

(ウ) 上枠及びたて枠上端と丸太組壁用木材との間には、丸太組壁用木材の乾燥収縮に伴う丸太組壁の沈み量に相当する収縮スペースを設ける。

(エ) たて枠及び上枠に、額縁を添え付け、丸太組壁の収縮スペース及びたて枠材を被覆し、丸太組壁の沈みに対応する。

(オ) 屋外建具回りの収縮スペース及び左右の隙間には、室外側には防水テープを張り、収縮スペースの収縮に追従できる吸放湿性能のある断熱材を充填する。

(カ) 屋外建具回りに断熱材を充填する場合は、外部に断熱材がはみ出すことのないように施工する。

(キ) 収縮スペースの高さは、開口高さの3%程度を見込む。

図8.9.7 建具の納まり(参考)

8.9.10 設備配線及び配管等

(1) 設備配線及び配管が丸太組壁用木材で構成された壁体と取り合う場合は、壁体の収縮を考慮して納める。

(2) 設備機器を丸太材等で構成された壁体に、直接取り付ける場合は、(1)に準じて措置する。

このページは、国土交通省のWebサイトで公開されている 国土交通省大臣官房官庁営繕部 公共建築木造工事標準仕様書 平成31年版 をWebページ化したものです。

コメント

共有する

このブログの人気の投稿

全体目次/平成31年版 公共建築木造工事標準仕様書

国土交通省ウェブサイトで公開されている 国土交通省大臣官房官庁営繕部 公共建築木造工事標準仕様書 平成31年版 のPDF版をウェブページ化したものです。 この全体目次にすべてのページへのリンクがありますので、このページをブックマークしていただくと、利用していただきやすいと思います。 最終改定 令和 3 年 3 月 25 日 国営木第20号 令和2年6月9日改定版から令和3年3月25日改定版の変更か所 平成31年4月25日改定版から令和2年6月9日改定版の変更か所 PDF版で見つかった記載間違い 各章共通事項 仮設工事 土・地業・基礎工事 木造工事 軸組構法(壁構造系)工事 軸組構法(軸構造系)工事 枠組壁工法工事 丸太組構法工事 CLTパネル工法工事 木工事 防水工事 石工事 タイル工事 屋根及びとい工事 金属工事 左官工事 建具工事 塗装工事 内装工事 断熱・防露、ユニット及びその他の工事 排水工事 舗装工事 植栽工事 資 料 1章 各章共通事項 共通事項 工事関係図書 工事現場管理 材料 施工 工事検査及び技術検査 完成図等 2章 仮設工事 共通事項 縄張り、遣方、足場等 仮設物 仮設物撤去等 3章 土・地業・基礎工事 共通事項 土工事 地業工事 基礎工事 4章 木造工事 共通事項 防腐・防蟻処理 防火被覆処理 5章 軸組構法(壁構造系)工事 共通事項 材料 防腐・防蟻処理 木材の加工 搬入及び建方 軸組 小屋組 床組 壁 6章 軸組構法(軸構造系)工事 共通事項 材料 防腐・防蟻処理 木材の加工 搬入及び建方 軸組 小屋組 床組 7章 枠組壁工法工事 共通事項 材料 防腐・防蟻処理 木材等の加工 搬入及び建方 土台 床枠組 壁枠組 小屋組及び屋根 8章 丸太組構法工事 共通事項 材料

2節 防腐・防蟻処理/4章 木造工事/平成31年版 公共建築木造工事標準仕様書

4.2.1 防腐・防蟻処理 4.2.2 地盤に接する鉄筋コンクリートによる床下の防蟻処理 4.2.3 地盤の土壌の防蟻処理 4.2.4 防腐措置 4.2.1 防腐・防蟻処理 木材の防腐・防蟻処理は、次により、適用部材及び処理の種類は特記による。 (ア) 防腐・防蟻処理が不要な樹種による製材 「製材の日本農林規格」 (平成19年8月29日 農林水産省告示第1083号) 及び「枠組壁工法構造用製材及び枠組壁工法構造用たて継ぎ材の日本農林規格」 (昭和49年7月8日 農林省告示第600号) に基づく心材の耐久性区分D1の樹種の心材のみを用いた製材は、次の(イ)及び(ウ)による薬剤による処理の適用を省略できる。 (イ) 薬剤の加圧注入による防腐・防蟻処理 (a) 製材等の加圧注入による防腐・防蟻処理は、「製材の日本農林規格」又は「枠組壁工法構造用製材及び枠組壁工法構造用たて継ぎ材の日本農林規格」の保存処理の性能区分K2からK4までの区分に適合するもの若しくはこれと同等の保存処理性能のものとし、保存処理の性能区分及びインサイジングの適用は特記による。 (b) 人体への安全性及び環境への影響について配慮され、かつ、JIS K 1570 (木材保存剤)に基づく加圧注入用木材保存剤又はこれと同等の木材保存剤を用いて、JIS A 9002 (木質材料の加圧式保存処理方法) に基づく加圧式保存処理を行うものとし、インサイジングの適用は特記による。 なお、JIS A 9002に基づく使用薬剤、注入量等の証明書を、監督職員に提出する。 (c) 加圧注入処理を行ったのち、加工、切断、孔あけ等を行った箇所は、(ウ)により処理を行う。 (ウ) 薬剤の塗布等による防腐・防蟻処理 (a) 人体への安全性及び環境への影響について配慮され、かつ、JIS K 1571 (木材保存剤―性能基準及びその試験方法) に適合する表面処理用木材保存剤又はこれと同等の性能を有する木材保存剤による処理を行う。 ただし、附属書A(規定)に基づく表面処理用木材保存剤による処理の適用、薬剤の種類及び適用部材は、特記による。 なお、処理に使用した薬剤、使用量等の記録を監督職員に提出する。 (b) 処理の方法は、特記による。 特記がなければ、次による。 ① 処理面の汚れ及び付着物を取り除

4節 透湿防水シート、防水テープ及び改質アスファルトフェルト工事/11章 防水工事/平成31年版 公共建築木造工事標準仕様書

11.4.1 一般事項 11.4.2 材料 11.4.3 施工 11.4.1 一般事項 この節は、外壁を取り付ける場合の透湿防水シート、防水テープ及び改質アスファルトフェルトを留め付ける工事に適用する。 11.4.2 材料 (1) 透湿防水シートは、JIS A 6111 (透湿防水シート) に規定する透湿防水シートBとする。 (2) 防水テープ (ア) 両面粘着防水テープの幅は、特記による。 特記がなければ50mm幅以上のものを使用し、傷やしわがないものとする。 (イ) 両面粘着防水テープは、製造所が定める使用可能期間以内に使用する。 (ウ) 両面粘着防水テープは、表11.4.1の性能基準に適合し、10年間の防水機能を検証したものとする。 また、片面粘着防水テープは、両面粘着防水テープの性能基準に準ずる製品とする。 (3) 改質アスファルトフェルト 改質アスファルトフェルトは、表11.4.2の品質に適合したものとする。 (4) ステープルは、JIS A 5556 (工業用ステープル) による。 11.4.3 施工 (1) 施工条件 (ア) 降雨・降雪時、降雨・降雪が予想される場合又は降雨・降雪後で下地が未乾燥の場合は、施工を行わない。 (イ) 防腐・防蟻処理された胴縁を使用する場合、透湿防水シート施工後、降雨・降雪等で胴縁及び透湿防水シートを濡らさないよう、直ちに外装材を設置すること。 (ウ) 防水テープの施工は、5℃未満では原則行わない。 (エ) 防水テープの施工は、被着体の乾燥のほか、油分、ほこり、木屑等の汚れを除去したうえで行う。 (2) 透湿防水シート、防水テープ及び先張り防水シートの工法 (ア) 透湿防水シートの施工は、開口部回り、外壁上下端部及び取合い部の雨水処理、水切り取付け等の工事終了後に行う。 (イ) 柱、間柱の間隔、段差、不陸などを確認し、不具合がある場合は修正し、柱・間柱あるいは耐力面材の上に透湿防水シートを張る。 なお、外張断熱工法とする場合は、断熱材の上に張る。 (ウ) 透湿防水シートは、シートを横方向に下部から上部に積み上げる、よろい張りを原則とする。 (a) 重なりは、上下幅90mm以上とする。 左右の重なりは構造用面材がない場合は、柱 (間柱) と間柱 (柱)の間隔 (左